仕事

40歳を過ぎても「脳の成長」が続く科学的な理由

 40歳を過ぎ、直前にやろうとしていたことがわからなくなった経験などはないだろうか。どこか自分の脳や体に不具合を感じ、20~30代にあった成長している意識は薄れ、むなしさや停滞感が心を支配する――。だが「もう自分には無理だ」と諦めないでほしい。なぜなら、科学的にも人は成長をし続けるからだ。 まだ成長できる人

停滞感を覚えても諦めるな! 脳力もビジネス力も成長は続く

 脳内科医・加藤俊徳氏はこう語る。 「人間の脳は、正しい生活習慣を保ち、適度な刺激を与えることができれば、死ぬまで成長します。実際、正常な状態であれば、40代の脳は30代の脳に比べると、より成熟し、脳が活性化しています」  加齢とともに脳の神経細胞は減っていくため脳が衰えるといわれているが、これも厳密には正しくないのだとか。 「確かに神経細胞は減少しますが、だからといって脳が衰えるわけではありません。なぜなら、その一方で脳には使われずに残っている大量の神経細胞があるからです。潜在能力細胞は量が膨大なので、100年かけても使い切ることができません。実際、さまざまな脳を見てきましたが、適度な運動や適切な食生活、十分な睡眠をとっている人は高齢者でも脳が成長し続けていました。40~50代のうちから生活習慣を改善すれば、いくらでも脳は成長します」  その傾向は仕事でも同じこと。パーソル総合研究所の小林祐児氏も、「60代になると、ジョブパフォーマンスは上がる傾向がある」と続ける。
まだ成長できる人

定年直前になると憂鬱感が解消され、シニア期の「上昇気流」が吹き始める。その時までにいかに自力をたくわえるかがカギに/出所:石山恒貴・パーソル総合研究所(2017)ミドル・シニアの躍進実態調査

「かつては“60歳定年”と言われ、60歳になると仕事のパフォーマンスは落ち、引退を余儀なくされる印象がありました。ところが、実際にジョブパフォーマンスに関する意識調査を行ってみると、定年前に一度パフォーマンスが下がりはするものの、定年直後あたりから上昇していく傾向にあります。これは、会社という枠組みを外れ、出世競争や管理職の重圧から解放されることで、これまでの知識や経験が開花するからではと考えられます」  仮に40代で停滞感を感じても、もはや心配はいらない。40代は、長い人生においては、まだまだ“成長期”なのだから。 【加藤俊徳氏】 脳内科医・医学博士。「脳の学校」代表、加藤プラチナクリニック院長。近著に、自身の半生や脳との向き合い方を綴った『脳を鍛えれば、人生は変わる』(海竜社)などがある 【小林祐児氏】 マーケティングリサーチャー。パーソル総合研究所主任研究員。ミドル・シニア層の職場環境事情に造詣が深い。共著に『会社人生を後悔しない 40代からの仕事術』(ダイヤモンド社)などがある <取材・文/週刊SPA!編集部>
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