ワケあり中年が暮らす「シェアハウスの現実」
「家賃が安い」「住人と交流できる」などの長所がある半面、「プライベートのなさ」や「ショボさ」という不安要素も多いシェアハウス。昨今は30代後半以上の人も増えているよう。30代以上のシェアハウス暮らしのリアルを探った。
宮内慎さん(39歳・運送会社アルバイト)は家賃2万4000円の3LDKで20代の男女と6人暮らし。建設会社作業員として社員寮に住んでいたが、膝を痛めて退職。傷害事件での逮捕・服役歴もあり、実家から絶縁されているためアパートの保証人探しが難航し、シェアハウスにたどり着いた。
「家賃が安いのは助かっています。知人の保証人になって背負った借金450万円のほか、逮捕されたのを機に別れた子供への養育費が月5万円。アパート暮らしをしていたら満額払うのは無理でしたね」
宮内さんもここに定住する気はないが、現実的には困難が伴う。
「返済が終わったら出ていくつもりです。でも、今の収入では最短でも10年近くはかかりそうで憂うつ。建設会社の寮のように極端にガラの悪いヤツもいないし、刑務所に比べれば天国ですけどね(笑)」
一方、仮住まい暮らしをポジティブにとらえる人もいる。ホテルをリノベーションしたオシャレ系シェアハウスに居住する石澤明生さん(58歳・仮名)。住人のほとんどが20代で、賃料は4万5000円。石澤さんは、3年前に都内で経営していたラーメン店が倒産。現在は、夕方から早朝まで働き、約1000万円の借金を返済する毎日だ。そんな状況だが、懲りずに2度目のラーメン店開業を目指している。
「厄年明けの63歳での開店を目指しています。そこから20年は働けるでしょう。シェアハウスの中から、弟子を取ってもいいね」
その先はどう考えているのか。
「次は絶対に潰さないようにと思っていますから、日夜、味の研究に励んで店に寝泊まりすることも多くなる。なので、ずっとシェアハウスでいいと思っていますよ」
しかし年を重ねて病気になったり、体が言うことをきかなくなったときはどうするのか。
「年金も払っていないし、任意の保険にも入っていないから、絶対に病気にはなれない。でもそのうち、高齢者ばかりのシェアハウスもできるのでは。グループホームでしたっけ?」
グループホームにも高い入居費用がかかりそうだが……。
全国のシェアハウスやゲストハウス情報を網羅する、ジャパン・バックパッカーズリンク代表の向井通浩氏は、「大抵のハウスが34歳程度までと年齢制限を設けていたり、募集要項には明記していなくとも事実上20代までで面接時にふるいにかけていたりもします。60歳を過ぎると年金を担保に住まわせる簡易宿泊所やアパートの一室を分けたような物件になり、とても介護やバリアフリーに対応したものではない。大手のハウスは、年齢制限がない物件も多いですが、40代はやはり仮住まいや、季節労働者の方が大半です」
つまり、現状では中高年向けに運営されているシェアハウスが極端に少なく、定着率も悪い。そのため自分で立ち上げようと考える人も多いが、「若者と違って臨終を看取る可能性への心配や、もはや自我や生活パターンが固定されているので協調性に不安があるなど、懸念事項が多い」(向井氏)という。
逆にいえば、これらを解決する物件の登場が待たれるということか。
【向井通浩氏】
国内最大のバックパッカー&ゲストハウス宿リンクサイト「ジャパンバックパッカーズリンク(http://www.backpackers-link.com/)」代表。シェアハウス情報にも詳しい
― 30代からの[凄シェアハウス]物件ガイド ―
退去したくても現状が許さない
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