人質事件被害者の高遠菜穂子さん、イラク支援を13年継続
‘16年3月でイラク戦争開戦から13年になるが、米軍の大部分が撤退した今も、現地ではIS(イスラム国)とイラク政府軍との戦闘やテロが連日のように行われ、情勢はますます混迷の度を深めている。
そんなイラクで一人の日本人女性が、今なお人道支援活動を続けている。イラク日本人人質事件(‘04年)の被害者である高遠菜穂子さんだ。
高遠さんが今回支援を行ったのは、イラク北部クルド人自治区の都市アルビルとその北東の町シャクラーワ。他地域から逃げてきた国内避難民(IDP)が押し寄せ、郊外の避難民キャンプには、粗末なテントや仮設住宅に、多くの人々が暮らしていた。
「イラクの国内避難民は320万人以上と言われています。国外に出ることができた、いわゆる『難民』と違い、国内避難民の状況が日本を含む海外メディアで報じられることは少なく、支援も不足しがちです。イラク南部は暑いのですが、北部の高地は冬とても寒くなり氷点下になることもあります。でも、避難民には十分な灯油も毛布もなく、寒さで凍えています。
今回は、避難民自身がつくったNGOと協力して、117家族に4.7t分の食料を届けました。豆4種、栄養粉ミルク、食料油6本、紅茶葉の詰め合わせとコメ25kgのセットです。でも、正直なところ全然足りません。もっと予算があるといいのですが……」(同)
支援はすべて高遠さんが日本で集めた寄付金によって賄われている。日本で講演等を行い、その資金でイラク北部や隣国ヨルダンへ渡り、支援物資を人々に送る。そうした活動を米軍イラク占領開始の’03年5月から13年近く続けている。
「武装勢力による拘束」という過酷な体験を乗り越えて、なぜ彼女はイラク支援を続けるのか。報道がほとんどされていない「イラクの現状」は、どうなっているのか。2/16発売の週刊SPA!に掲載「いまだ現地活動中の高遠菜穂子がリポート イラク戦争は終わってない!」では、さらに詳しいイラク現地の様子や、高遠さんが支援を続ける「理由」などについてリポートしている。
取材・文・撮影/志葉 玲 写真/イラクホープネットワーク(http://www.iraq-hope.net/)
![]() |
『週刊SPA!2/23号(2/16発売)』 表紙の人/ E-girls 電子雑誌版も発売中! 詳細・購入はこちらから ※バックナンバーもいつでも買って、すぐ読める! |
【関連キーワードから記事を探す】
SUVの陰でワインのごとく熟成が進むレクサスのセダンを語る
安田純平氏への非難やまず…同胞の解放を“喜ばない”日本の自己責任論の異常さ――古谷経衡
安田純平さんを独自ルートで「救出」しようとしたジャーナリスト・常岡浩介氏の告白
テロで妻を失った男の決意「笑って生きなければテロリストの思うつぼ」
ISスパイの嫌疑を掛けられ拘束…常岡浩介が語る「僕が何度も捕まる理由」
戦闘か、武力衝突か?「稲田防衛相、現地をちゃんと見てください」と南スーダン支援NGOスタッフが訴える
スマホで使われるコバルトは子供たちが採掘している!?【アフリカ・コンゴの児童労働の実態】
人質事件被害者の高遠菜穂子さん、イラク支援を13年継続
コピー用紙のために、先住民やオランウータンの住む森が破壊される!?
ハマスという“敵”はイスラエルにとって格好の大義名分となっている
安田純平氏への非難やまず…同胞の解放を“喜ばない”日本の自己責任論の異常さ――古谷経衡
安田純平さんを独自ルートで「救出」しようとしたジャーナリスト・常岡浩介氏の告白
テロで妻を失った男の決意「笑って生きなければテロリストの思うつぼ」
拘束ジャーナリスト常岡浩介「怖い尋問を“爆笑尋問会”にするサバイブ術」
ISスパイの嫌疑を掛けられ拘束…常岡浩介が語る「僕が何度も捕まる理由」
「イランと戦争寸前のアメリカに正義はあるか?」佐藤優が考察
拘束ジャーナリスト常岡浩介「怖い尋問を“爆笑尋問会”にするサバイブ術」
ISスパイの嫌疑を掛けられ拘束…常岡浩介が語る「僕が何度も捕まる理由」
人質事件被害者の高遠菜穂子さん、イラク支援を13年継続
全米で物議を醸している『アメリカン・スナイパー』の謎を解く戦争映画
日本のパレスチナ支援“100億円のゆくえ”を、政府が確かめようとしない理由
主要先進国はなぜパレスチナへの資金援助を見直したのか。“間接的なテロ支援”とする主張の背景
日本国民の税金が「テロに使われている」…パレスチナへの支援金“2,400億円”の行方とは
ニュースで報じない「ハマスの最終目的」とは?日本のメディアが“中立であるフリもしない”理由
「テロリストの主張は仮に正論だとしても認めない」との態度を示すべきだ/倉山満
人質事件被害者の高遠菜穂子さん、イラク支援を13年継続
テロの無差別殺人を可能にするのは国家の仕組み――2015年のトピックを政治学者・栗原康が振り返る
アメリカだけじゃない!国家ぐるみの通信傍受活動に企業が暗躍
「7000万円借金があるけど」新卒で入ったTBSを“突如退社”したディレクター。「自分の最低ラインを決めれば何をしてもいい」
日本人の大半がウクライナ侵略を「予測できなかった」理由が絶望的だった
岸田外交の3つの問題点。軍事抜きの外交など無力だ/倉山満
国際情勢が揺らぐなか、いま日本がすべきこと/倉山満
防衛費の引き上げ、“喫緊の危機”にもかかわらず「5年以内」のおかしさ/倉山満