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「苦しかったし、本気で辞めたいと思った」リオ五輪金・レスリング川井梨紗子の苦悩と希望

勝ったほうが五輪。異例の注目を集めた伊調馨との最終決戦

 ’19年7月6日、事実上の東京五輪代表決定戦となった世界選手権出場をかけた2人の最終決戦(プレーオフ)は、テレビ局が音楽番組を中断して生中継するなど異例の注目を集めた。 「観てる方は面白くて仕方なかったんでしょうね(笑)。馨さんと戦った’18年12月からの8か月間は、いま思えばあっという間で、めちゃくちゃ濃い時間だったような気がします。  最初の全日本選手権の決勝では負けましたが、その後も戦い続けたことで気持ちの面でも大きく成長できたと思いますし、東京五輪の代表になるうえで自分に必要な試練だったのかもしれません。もちろん、やっているときは辛ったし、あんな経験は2度としたくないですけどね(苦笑)」  ’19年9月の世界選手権では妹の友香子も銅メダルを獲得。川井は東京五輪に姉妹揃って出場する。’20年2月のアジア選手権(ニューデリー)でもそれぞれ頂点に立つなど、東京五輪でも目標は姉妹揃っての金メダルだ。 川井梨紗子4「自国開催の五輪を選手として迎えられること自体、運がいいじゃないですか。そこに妹と2人揃って出られるというのは重みがあるというか、また違ったうれしさはあります。もちろん2人のうち1人でも失敗すればどこか喜びきれないリスクもありますが、ともに勝ったときの喜びは2倍ですから」  リオ五輪では全6階級で金4つ、銀1つとメダルを独占した女子レスリング。その中心にいたレジェンド吉田沙保里が引退、伊調馨と登坂絵莉(26歳・東新住建)も出場を逃した。4年前は若手の1人だった川井にかかる期待は大きい。 「リオのときは前年の世界選手権も2位だったし、沙保里さんや馨さんがいて、私は若手として付いていくだけでした。こんどは’17年から世界選手権を3連覇して挑む五輪ですし、前回とは期待も違う。自分が引っ張らないといけない立場ということは理解しています」  地元開催ということで、苦手な飛行機に長時間乗る必要はない。金メダルの有力候補とされプレッシャーはかかるだろう。だが、代表の座を掴む際に感じていたストレスに比べれば、それも大したことはないかもしれない。 「馨さんだけじゃなく、ほかの後輩が頑張っている姿も見てきたし、予選で負けた人の分までっていうのはキレイごとで好きじゃないですが、私が代表になった以上、その人たちの思いも理解してマットに立たないといけないとは思っています。私は、私のために頑張る。その結果、友香子と一緒に金メダルが取れたら最高ですね」  最後に素人には若干わかりにくい部分もある、レスリングのここを見てほしいというポイントがあれば教えてほしいと言うと、川井はこう話してくれた。
川井梨紗子5

東京五輪女子68kg級代表を決めた土性沙羅(右から3番目)らと母校・至学館大学のマットで切磋琢磨する

「私のレスリングの特徴って、直接肌を合わせないとわかりにくいと勝手に思っているんです。  もしかしたらテレビで試合を見ていたら、コイツ何もしてないじゃんって思うかもしれないんですが、そんなときでも駆け引きを続けていると思ってみてもらえたら(笑)。簡単にいえば上になっている方が勝っています。  レスリングは攻めていても、その技を返されるリスクといつも隣り合わせ。試合は2分×3ピリオドの6分間で、最後の1秒まで何が起こるかわかりません。ぜひ東京五輪では普段見られない方も、最初から最後まで見てもらえたらと思います!」 ●プロフィール かわい・りさこ ’94年11月21日生まれ。石川県出身。小2でレスリングを始め、小6で全国少年少女選手権33kg級3位、津幡中3年で全国中学選手権52kg級優勝。至学館高、至学館大を経て、ジャパンビバレッジ所属。63kg級で16年リオ五輪金メダル。世界選手権は17年に60キロ級、18年に59キロ級、19年に57kg級で優勝。父孝人さんはグレコローマンの元学生2冠で、母初江さんは元世界選手権代表。3人姉妹の長女で、次女の友香子(至学館大)は62kg級・東京五輪代表 取材・文/栗原正夫 撮影/ヤナガワゴーッ!
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