新型コロナウィルスの影響で、外出自粛要請の続く現在。自宅でのリモートワークが続き、運動不足で体にコリや痛みが出てきている人や、ストレスが溜まっている人は多いだろう。
そこで今回は、『
今日から自宅がジムになる 「宅トレ」』(カンゼン)を4月15日に発表したスポーツトレーナーの坂詰真二氏にインタビュー。同書で取り上げられた自宅で行えるエクササイズを、その必要性や効果の解説を交えて4回に分けて紹介する。第2回は筋力トレーニングについて。さっそく2つのメニューを紹介しよう。
全身で最も大きな筋肉を鍛え、加齢を防ぐ「太もも前の筋トレ」
鍛えられる部位は太もも前(大腿四頭筋)で、回数は10回×3セット(インターバル1分)。「太もも前の大腿四頭筋は全身で最も大きな筋肉。ここを鍛えると体をしっかり支えることができるので、歩行も階段昇降も楽に。また代謝アップにも直結します」(坂詰氏)
①床に両膝を着いて足の指を反らせて座り、踵の上にお尻を乗せる。背すじを伸ばしたまま上体を後傾させ、両腕を胸の前で交差させる。
②後傾姿勢を保ったまま、息を吐きながら両膝を伸ばして1秒で体を引き上げる。息を吸いながら2~5秒かけてゆっくり元に戻る。
鍛えられる部位はお尻(大殿筋)、太もも裏(ハムストリングス)。回数は左右交互に10回×3セット(インターバル1分)。「この2つは大腿四頭筋に次いで大きな筋肉です。ここを鍛えると立位姿勢や歩行もグッと楽になり、体型の改善もさらに容易になります」(坂詰氏)
①仰向けに寝て膝を立て、一方の足をもう一方の膝上に乗せる。バランスをとるため両腕をハの字状に開いて床におく。床に置いた脚の膝は直角に曲げる。
②開いた腕でバランスを取り、息を吐きながら1秒でお尻を高く引き上げる。息を吸いながら2~5秒かけてゆっくり元に戻る。10回繰り返したら逆側も同様に。
筋トレで病気も肥満も防止!
では、今の時期に自宅で筋トレを行う必要性についても解説しよう。通勤で歩くこともなくなり、自宅でのデスクワークが続けば、やはり筋肉もしだいに衰えていくという。
「筋肉は人体の動力なので、筋力が衰えれば運動や日常動作でも疲れを感じやすくなります。また筋肉は熱発生装置でもあるので、筋肉が減ると基礎代謝も下がり、肥満や生活習慣病を招きやすくなります」
つまりリモートワークで筋肉が衰えてしまうと、その後も太りやすく・病気にもなりやすい体になってしまうわけだ。また「基礎代謝が下がると体温も下がり、免疫系の働きも低下しやすくなる」そうなので、新型コロナウィルスへの対策を含めて、“病気になりにくい体”を作るうえでも筋トレは有効といえるだろう。
そして今回紹介したメニューは、外出自粛に由る筋肉の衰えを効果的にカバーするものだ。
「イスに座る生活が続くことで減少(委縮)しやすいのは、主に下半身の筋肉です。この2つのメニューでは、太ももの前(大腿四頭筋)、太腿の裏(ハムストリングス)、お尻(大殿筋)の3か所をしっかり鍛えることができます。これらの大きな筋肉は体力と代謝にも深く関わっているので、筋トレを行う際には最優先で取り組むことがオススメです」
行う頻度は10回×3セットを週に2回行うのが目安だ。
「筋トレは頻度が多いほど効果が高いわけではありません。回数は多くても週3回までとしましょう。なお、紹介したエクササイズの負荷が強く感じる場合は、回数を減らすのではなく、動作を小さくしてみてください。自分に合った負荷で行うことが、筋トレを長続きさせ、効果を上げる秘訣です」
なお筋トレには心身をリラックスさせる効果もあるという。
「ストレスを受けた人の体では血液中にアドレナリンが放出され、血圧が上昇。呼吸も速くなり、リラックスができない状態になります。一方で筋トレや有酸素運動を行うと、アドレナリンは徐々に消費され、脳内に『幸せホルモン』ともいわれるエンドルフィンが増加。心も体もリラックスできるようになります」
“自粛疲れ”を感じて眠れない人も、ぜひ自宅での筋トレにトライしてみよう。
坂詰真二
NSCA 認定ストレングス&コンディショニング・スペシャリスト。同協会認定パーソナルトレーナー。「スポーツ&サイエンス」代表。トレーニングの指導者育成、各種メディアを通じての運動指導などで活躍中。『坂詰式正しい筋トレの教科書』『パートナー・ストレッチ』(共にカンゼン)など著書多数。
<構成/古澤誠一郎 モデル/篠田和也>