コロナで寺社の4割は消滅する。法要・拝観中止で収入激減
全国の寺社が窮乏に喘いでいる。コロナ禍で収入源を絶たれ、持続化給付金も対象外。20年後に4割が消滅する――など厳しい試算もあるが、果たして打開策はないのか? 今回その最前線に迫る。
「浄土真宗はお説教が主な活動ですが、人が集まれないのでほとんどできず、凄まじい勢いで収入が減っていった。寺の収入の半分がお説教なので大打撃です」
玄照寺(滋賀県・真宗大谷派)の瓜生崇住職は、コロナ禍による寺のダメージをこう明かした……。
コロナが日本の伝統宗教を直撃している。感染拡大を防ぐため、京都や鎌倉など観光地の名刹が次々と拝観中止を決定。神社も「江戸三大祭り」をはじめ、季節の風物詩とも言える歴史ある祭事が軒並み取りやめとなるなど、全国の名だたる神社仏閣が収入源を絶たれ、経済苦に喘いでいるのだ。ジャーナリストで浄土宗の僧侶でもある鵜飼秀徳氏が説明する。
「タイミングが最悪だった。まず、3月のお彼岸の法要や、花祭りなどの行事が中止になり、例年ならGWに集中する年忌法要が、移動制限で帰省する人が少ないために、キャンセルが相次いだ。大多数の寺の主な収入である布施が、ほぼ消えたのです。一方、拝観料が収入源の観光地の寺は、渡航制限のため外国人観光客がほぼゼロのうえ、修学旅行も中止で“ドル箱”を一挙に失った」
だが、宗教法人は「お布施」などの宗教にかかわる事業は原則非課税だ。よくいわれるように「坊主丸儲け」なら、困窮は一時的ではないのか。鵜飼氏が続ける。
「全国に1万の寺を擁する浄土真宗本願寺派は、43%の寺が年収300万円以下です。日本最大の仏教宗派・曹洞宗でも、年間の法人(寺院)収入が300万円以下の寺が42%。地方の過疎地はもっと厳しく、ほとんどが年収300万円以下なのが実情です。もともと経営基盤が脆弱だから、コロナ禍による収入減が、寺の経営を揺るがしかねないのです」
この指摘を裏づけるように、前出の瓜生住職も青息吐息の懐事情をこう吐露する……。
「もともと、ウチは寺の活動だけでは経営が成り立っていません。地方では、葬儀や法要のお布施だけでは寺の運営ができず、兼業僧侶のほうが一般的。僕は元システムエンジニアなので、システム開発との兼業で何とか凌いでいる」
4割が年収300万円以下。神社はさらに過酷な状況
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