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コロナでホームレスになった60代「給付金10万円のもらい方がわからない…」

「ホームレスの知り合いをつくってる場合じゃない」

 小川義弘さん(仮名・60代)はスポーツ用のタイトなTシャツにジーンズと、野宿生活をしている人の中ではキレイな身なりだった。小屋の前には割と新しい自転車が止められていた。  最近、ホームレス生活を始められたんですか?と聞くと、「そうだよ。今年の4月からだよ。だからホームレスの知り合いとかいないよ。そもそも知り合いとかつくってる場合じゃないからね。とっとと出ていかないと!!」と空き缶を袋に詰める手を止めて言った。どうして河川敷で生活することになったのか。 「もともとは近くの居酒屋で働いていたんだよ。普通の店員。昔はいろいろやったけど、最近までは月収12万円程度の居酒屋の店員で落ち着いてた」  店があったのは、ここからもそう遠くない場所にある駅だ。 「3月にコロナがはやって、お客さんが全然来なくなっちゃったんだよ。全く、商売あがったりな状態でね。で、店長がお店を開けるのをやめちゃったんだ。特に『クビだ』と言われたわけじゃないけど、店が開いてないなら仕方ないよね。そのまま、なし崩しに無職になっちゃった」  この居酒屋の経営者は、被雇用者にかなり無関心な人だったようだ。小川さんは、何の補償も受けられないまま、仕事を失ってしまった。 「すぐに次の仕事が欲しかったけど、コロナ禍でそもそも仕事が全然ない。ただでさえ60歳を超えてる俺に仕事なんてほとんどないし」  深刻な内容だが、楽天的な表情で語った。妻や子供はいないらしく、まだ気は楽なのかもしれない。 「しょうがないから貯金を取り崩しながら生活したよ。でもほとんど貯金してなかったからなあ」  日本人の60代の貯金の中央値は約1000万円だという。「老後の生活には公的年金に加えて2000万円以上必要」という説もある。彼の場合、公的年金が未納で、かつ貯金は数万円しかなく、たった1か月で底を突いた。 「すぐに家賃が払えなくなって、家を出ることになっちゃった。前から河川敷でテント暮らししてる人を見てて、最悪ここに来ればいいかと思ってた。それで大事なものだけを持って河川敷に来た」  普通の人は「仕事がなくなったら、河川敷に住んで空き缶を集めて生活しよう」とは考えないだろう。そう考えると彼は、ホームレスと「普通」のボーダーライン上にいた人だと言える。 「空き缶集めてるんだけど、全然儲からないね。一日中集めても、1000円くらいにしかならない」  聞くと、アルミの値段は1㎏75円程度だそうだ。普通は1㎏100円程度だというので、コロナ禍の需要減でかなり値段が下がったといえる。一日1000円では生活していくだけでやっとだ。
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こんな生活はやめたい
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年収100万円で生きる-格差都市・東京の肉声-

この問題を「自己責任論」で片づけてもいいのか――!?
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