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コロナでホームレスになった60代「給付金10万円のもらい方がわからない…」

コロナ禍後のホームレス事情はどう変化したのか

 コロナ禍後の路上生活者の事情について、『ホームレス消滅』の著者の村田らむ氏に聞いた。 「河川敷の生活者たちの中には、さすがにコロナ禍を知らない人はいません。ただ『俺たちには関係ないし、何の影響もない。もう十分生きたから、病気で死んでも構わない』と口を揃えるのです」  特別定額給付金にも興味がないようだ。 「実際に10人以上のホームレスに聞くと受け取るという人は一人もおらず、むしろ『余計なお世話』と怒る人もいました」  しかし、彼らの主収入であるアルミ缶の買い取り価格は下がっている。そのため炊き出しで食いつなぐ人も多いが、コロナ禍では、感染拡大防止のため炊き出しが中止されたり、回数が減ったりと厳しい状態が続いている。そして、炊き出しには若年層もいて、コロナでネットカフェなどを追い出されたり失職した人が若年ホームレス化しているともいわれている。 「ギターを抱えたバンドマン風の人が仲間同士で並び、仕事が見つからないなどとぼやく光景も珍しくありません。実際、コロナ禍でホームレス状態になる人は少なからずいると思います」  現状の生活保護のシステムが今後も稼働していくなら、数は減ると思われるが、村田氏は楽観視はできないと話す。 「’90年代末、あれだけいたホームレスが減ったのは景気が良くなったからではありません。生活保護制度というアメと、取り締まりの強化というムチがあったからです。しかしコロナ禍で国のお金が尽きれば、何をしてもホームレスは増えるしかない。公園に数千人が生活することになっても、見過ごすしかなくなるでしょう」  コロナ禍の収束が見えないようでは、誰がいつ路上生活者になってもおかしくない状況なのだ。 【村田らむ氏】 ライター、漫画家、カメラマン。ホームレスやゴミ屋敷、新興宗教組織、富士の樹海などへの潜入取材を得意としている。新著に『ホームレス消滅』(幻冬舎) <取材・文/週刊SPA!編集部>
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年収100万円で生きる-格差都市・東京の肉声-

この問題を「自己責任論」で片づけてもいいのか――!?
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