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コロナでホームレスになった60代「給付金10万円のもらい方がわからない…」

「こんな生活はやめたい」その後、行方はわからず

 特別定額給付金の10万円をもらわないのか? と聞くと、「なんかそんなの聞くね。でももらい方わからないし、たぶん俺はもらえないと思うよ」と自嘲気味に笑った。国民全員にもらう権利はあると思うが、確かに家がない人が給付金をもらうのは一筋縄ではいかないかもしれない。村田氏は「そもそも、ホームレスの人は面倒くさいことが何より苦手、という人が多い。彼らは、もらわないでしょう」という。 「早くこんな生活やめたいし、やめるつもりだよ。でも仕事は決まらないしどうしたもんだかわからないね」と肩を落とす小川さん。   取材班が話を聞かせてもらったお礼に、サージカルマスクを手渡すと「ああ!! マスク欲しかったんだよ。どこに行っても手に入らなくて。売ってても高いしね。マスクつけてないと白い目で見られて、怒られたりするからね。すごい助かるよ、ありがとう!! ありがとう!!」と過剰なほどお礼を言われてしまった。たかがマスクだけれど、ホームレスの収入では数百円の出費もかなり痛い。  その後、様子を見に行くとテントはすでになくなっていた。その代わり、「警告 この場所は、○○(株)の管理地です。この場所を占拠している方は二○二○年×月×日までに移動してください」と書かれた看板が立っていた。日付を見ると話を聞いた直後に立てられたようだ。仕事を見つけたから立ち去ったわけではなく、追い立てられて仕方なく場所を変えたとみられる。世知辛い世の中である。小川さんの行方はわからなくなってしまったが、取材班は彼の生活が安定していることを祈るのであった。
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コロナ禍後のホームレス事情はどう変化したのか
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年収100万円で生きる-格差都市・東京の肉声-

この問題を「自己責任論」で片づけてもいいのか――!?
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