学費返還を求める大学生は就職活動で不利になる? 学生たちの不安
コロナ禍によって、学校に通えない大学生たちの嘆きがSNSに溢れた。一部の大学では、ようやく対面とリモートの“併用”という形で授業が始まった。しかし、東京都内の私立大学3年・橋本良太郎さん(仮名・22才)が最後に大学に行ったのは今年3月の頭。3年次分の学費も納入済みだったが、あれ以降、現在まで大学でのリアルな講義は1日として受けていなかった。そこで感じた大きな「差」。
そんな不満をSNSに投稿していたところ、新たな懸念が生まれ始めているというが……。
「すでに対面の授業が始まっている大学もあります。もちろん、パソコンなどを利用したリモート授業と併用、という形です。うちは、今もリモートのみ。大学がリモート授業を行ってくれている、そういった環境を整えてくれた、という点は確かにそうですが、パソコンも、ネット環境も自分で支払っています。学費のうち、施設利用料に当たる部分は、さすがに返還されるか、大幅に減額されないと納得がいかない」(橋本さん、以下同)
Twitter上には、同じような思いをしたという大学生の書き込みが散見され「#学費返還運動」なるハッシュタグが登場。署名収集サイト「Change.org」などを活用した学生たちの動きも見られる。
一部の大学では、すでにこうした学生側の動きに応じ、声明や対策、給付金を出しているともいう。しかし、橋本さんの大学は、学費の返還どころか授業の再開すら見込みが立っていない。この「差」は一体なんなのか、腑に落ちない。橋本さんは引き続き、大学側の不誠実な対応について、Twitterへの投稿を続けていたが、同じ大学の同じ学部の友人が慌てて連絡してきたのは、今年の7月ごろだった。
「友人も僕と同じような書き込みをしていて、ゼミの先生から、そういうことをしていると就職に響くかもよ、ただでさえ君たちは厳しいんだから、みたいなことを言われたらしいんです」
橋本さんは友人を誘って改めて抗議しようとしたが、結局、友人はこれを拒否。橋本さんの世代は、コロナ禍の影響で就職活動すらまともにできるかどうか、定かではないという。
友人にとっては、大学側や企業側に目をつけられるより、狭き門となる可能性が高い就職活動に向けて、万全の態勢で臨みたい、ということだろう。橋本さんは「友人の気持ちはわかるし責められない」とうなだれる。
終わりの見えない大学の「学費返還」問題
就職活動への懸念

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