学費返還を求める大学生は就職活動で不利になる? 学生たちの不安
実際、企業側が学生のSNS上における言動を監視しているのだろうか。外資系保険会社の元人事担当者・中本真由子さん(仮名・60代)が言う。
「企業の人事担当者にとって、新入社員候補の身辺調査を行う上でもっともポピュラーになってきているのがSNSのチェックです。大企業はもちろん、中小企業でも行われています」(中本さん)
前述の橋本さんの言動は「主張は正しいが、嫌がる企業もあるかもしれない」というのが中本さんの見方である。企業がいつも正論を求めているのかと言えば、そうとも言えず、特に古い企業のトップは、和を尊ぶ傾向にあるからだと話す。
とはいえ、今回のコロナ禍のような不測の事態においては、別問題かもしれない。
学費に納得のいかない学生たちの気持ちはじゅうぶんに理解できるし、大学側が対応に苦慮するのもわからなくもない。対面授業のクラスター対策を含め、課題はまだ山積みだろう。
橋本さんをはじめ、全国の多くの学生たちが葛藤を抱え、就職活動へのリスクも懸念しながら、それでも動かなければ何も変わらない。言わなければ、学費が返ってくることはない、と行動に移しているのだ。
だが、これは大学と学生だけの問題ではなく、国全体の問題とも言えよう。国からの私学助成が増額されるなど、良い落としどころが見つかることを祈りつつ、今後の動向を見守りたい。<取材・文/森原ドンタコス>
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