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ネットの画面越しでは難しい、感情やイメージを伝えること/鴻上尚史

画面越しでは難しい、感情やイメージを伝えるということ

ドン・キホーテのピアス 二度目の緊急事態宣言が出て、いろんな産業と人達が大変なことになっていますね。 「自粛要請には、充分な休業補償を」って、ずっと言ってます。昨日もテレビを見ていたら、ゲームセンターのオーナーさんが、「20時に閉めろ、でも補償はない」ってどういうことだと怒ってました。  僕は演劇系の大学で教えているのですが、授業もオンラインになりました。 「オンラインで演劇は教えられるんですか?」とよく聞かれますが、理論は教えられても、「演技レッスン」の授業はぶっちゃけ、難しいです。だからと言って、やらなければ0なので、なんとか努力します。 「一番大きな声でこのセリフを言ってみよう」なんていう声のレッスンが「君の住んでいる環境で、周りに迷惑がかからない、出せる範囲の音量で言ってみよう」なんてことになるわけです。  話し言葉には、「情報を伝える」と「イメージや感情を伝える」という二つの機能があります。  画面越しの会話では、話し言葉という「情報」はちゃんと伝わります。  でも、「イメージや感情」はなかなか伝わらないのです。 「すっごく良いことを言っているのに、この人、なんかうさんくさい」というのは、ポジティブな「情報」を受け取っても、その人物や言葉から発せられるネガティブな「感情やイメージ」をキャッチした時に起こる感覚です。  ライブパフォーマンスが面白いのは、同じ空間にいることで「感情やイメージ」を丸ごと受け取れるからです。映像では自信満々に見えたアーティストが、ライブで見るとものすごく焦っているのが分かる、なんてことは、普通にあります。  演劇のレッスンで「ムチャクチャ語で話す」というのがあります。 「ムチャクチャ語」というのは、文字通りムチャクチャな言葉で「あるてこつなごげごかだいでいが!」みたいな、猫がキーボード踏んだみたいな言語を喋るわけです。  でも、言いたいことははっきりしていて、例えば「美味しいラーメンを一緒に食べに行かない?」なんてことです。
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映像でのコミュニケーションは、気持ちを言語化したほうがいい
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