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作家こだま、鬱をきっかけに性格変わる「むしろポジティブになった」

「メルヘンを追って」の真実

――次! 『いまだ、おしまいの地』に書いたエピソードの中でお気に入りのものは何? こだま:全部お気に入りだし、どれが一番っていうのはないかな。でも、爪さんたちと一緒に、私を騙した詐欺師の実家に突撃した「メルヘンを追って」は思い入れが強いかな。 ――こだまさんが、Twitterで詐欺師にカネを騙し取られてね。こだまさん、同じように被害にあった男性、取り立て役として俺、編集さんの4人で詐欺師の実家に突入する話。 こだま:簡単に騙された私が悪いんだけど、いい話の題材にはなったから安心した。自分が関わっていることなのに、まるで他人のように楽しめたのが不思議だったよ。 ――こだまさんは、そうやって不幸なことを笑い話に転化するのが昔からの持ち味だよね。ひどい目にあってもタダでは終わらないというか。 こだま:だけど、このメルヘンの話は踏み込んで書けなかった。結局詐欺師とは連絡がつかなくて、相手のご両親にお金の返済をお願いするんだけど、途中で相手のことが可哀想になっちゃって……。それでいろいろ書けなくなっちゃった。 ――俺、現場にいたからわかるけど、書いていないことが本当に多い。俺はね、他のみんながのん気でビックリしたよ。 こだま:え、何かダメなところあった? ――まず、向こうの親が出して来たお茶を、みんなすぐに飲んだじゃん。敵が出したお茶だよ? 毒が入ってるかもしれないじゃん。 こだま:敵じゃない! ご両親はお金をなんとかしようと考えてくれる仲間だよ。 ――いや、仲間ではない(笑)。しかもお前、そのお茶を飲んで「よく冷えてて美味しいです」って言ってたろ。お前は頭がおかしい! さらに「これ以上いじめないであげて」って、相手の味方をしだすんだもん。 こだま:だって爪さんが怖すぎたから。向こうが「お金は絶対払います」って念書を書こうとしてるのに、「文書だけでは信用できません。念のため音声データもください」とか、本当の取り立て屋じゃん。 ――さすがに俺も言い過ぎたと思って、その場を和らげようと「可愛い猫ですねぇ、僕は犬の方が好きですけど」って、相手の飼い猫の頭を撫でながら言ったんだけど、取りようによっては凄い脅し文句に聞こえたかもね。 こだま:爪さんがTwitterに書いてたけど、そんな物騒な殴り込みをかける前に、打ち合わせも兼ねて、4人で駅近の喫茶店でサンドイッチを食べてた風景が本当に記憶に残ってるんだよね。もっとそういうのを書けばよかった。 ――強引にまとめると、こういうフィクションかと思うようなエピソードがこの本には満載なので、是非お読みくださいってことだね。
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鬱病になったことで私はポジティブになった
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