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「夫婦仲は良好」なのに不倫に走る男女に僕が思うこと/カリスマ男の娘・大島薫

不倫

写真はイメージです

奥さんに対する罪悪感は?

 罪悪感はないのだろうか。 「嫌なこと聞きますね(笑)。まったくないってわけじゃないですけど、まあ、その分お金とか何不自由ない生活はさせてますし、たぶん妻も気づいてるけど追及しないだけだと思うんですよね。夫婦生活を維持するのって、なんでも本当のこといえばいいってもんでもないんです」  僕はそのときなにかをいいかけたが、未婚の身としてはそういわれてしまうとなにも言い返せなかった。しかし、本当は奥さんと別れる気がないのなら、不倫相手にはどう納得して別れてもらうのだろうか。 「ああ、簡単ですよ。不倫女性と仲が悪くなればいいんです」  どういうことだろう。 「『ちょっとこの子めんどくさくなってきたなー』って思ったら、喧嘩したり、不機嫌な態度を隠さないでいたりすると、自然と険悪になってきて、勝手に向こうから別れてくれますよ。勝手に近づいてきて、勝手に離れてくれて、本当にこっちとしてはありがたい存在ですね」  なんともクラクラする話だ。得をしているのは彼だけではないのか。すると、恋愛真っ最中の高校生男子のような明るさで、彼はスマートフォンを取り出した。 「あ、これね。いま付き合ってる子のインスタグラムなんですけど、僕と海外に行ったときのホテルからの写真をアップしてるんですよ。デートはいつも高級ホテルや、温泉旅行とか良いところに連れてくんで、女の子よく写メ撮ってますね。この子インスタグラマーでもあるから男と行ったとかは書かないんですけど、よっぽど楽しかったのか、はしゃいじゃってかわいいですよね」  そういって見せてくれたSNSには、見るからに高級そうなホテルのバスタブに浸かり、シャンパン越しに超高層階からの風景を映した画像が掲載されていた。20代そこそこの女性ではなかなか泊まれないような値段のホテル、海外旅行、高級な酒。キラキラ女子の裏側。  多目的トイレとは程遠い綺麗な場所だが、そこが高級ホテルであっても行われる行為が不倫であれば、なんともいえない気持ちになる。  たしかにハイスペックな男性は魅力的だ。お金持ちの男性と結婚したい、そんな女性もたくさんいるだろう。彼女らは自身の美貌や若さを利用して、そんな男性たちに近付いていく。しかし、それを利用する男性もまた存在する。彼の話を聞きながら、僕は現代社会の食物連鎖を見せられているような気分になった。

夫の同僚と不倫する人妻

「不倫相手は夫の同僚です」  そんな衝撃的な一言から始まった三上舞さん(仮名)の不倫相手との出会いは『偶然』だったという。 「最初は知らなかったんです。たまたま友人たちと飲みに行った近所の居酒屋は、トイレが1つしかなかったんですね。混んでいると、男性も女性も同じところで列を作るんですが、そこで話しかけてきた男性が、その不倫相手です」  相手は舞さんと同じ20代後半の男性だったそうだ。しかし、それが夫の会社の同僚なんて偶然があるのだろうか。 「私もまさかと思ったんですが、考えてみればあり得る話なんです。うちは夫の仕事に合わせて、職場に近いところでマンションを借りているので、会社帰りの同僚や上司が近場の居酒屋に来てもおかしくないんですよね」  いってしまえばナンパなのだろうが、若い舞さんは当然結婚歴も短いだろう。なにか結婚相手の男性に不満でもあったのだろうか。不倫をするにはあまりにも早すぎると感じた。 「結婚してから3年が経ちましたね。全然夫とは仲良いですよ。結婚したいまでも休みの日にはデートもしますし、セックスレスでもないです。子どもはまだできてませんが、いつかは欲しいですね」  出た。またも「夫婦仲は良好」という言葉。それならばなぜみんな浮気をするのか。罪悪感はないのか。 「ないですねー」  そう舞さんはあっさりと答えて続ける。 「婚約中に夫の風俗通いが発覚したんです。同棲してて彼の洗濯物から見慣れない会員カードが出てきて、お店の名前で調べたら風俗店のホームページを見つけました。それで色々調べたら、風俗嬢の方とのLINEとかも見つけて、彼私と付き合ってる間も結構風俗行ってたんだなーって(笑)」  それはさぞ揉めたでしょう。 「ううん、私それに気づいたこと、まだ夫にいってないんです」  ええ! 怒らなかったんですか? 「もう婚約していて、周りの家族も巻き込んでることですし、それと不思議なんですけど、私もそのとき『ま、こんなもんだよね』って変に納得したんですよね。なんかよくわからないですけど、男の人も息抜き? したいとかそういう気持ちあるんですよね?」  いや、僕はないですけど……。 「そうですか? で、それで居酒屋で声をかけてきたその男性に後日言い寄られたとき、私も『まあ、別に浮気してもいっか』って思ったんで、罪悪感みたいなものは感じたことがないです」
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別に奪ってほしいとは思わない
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1989年6月7日生まれ。男性でありながらAV女優として、大手AVメーカーKMPにて初の専属女優契約を結ぶ2015年にAV女優を引退し、現在は作家活動を行っている。ツイッター@OshimaKaoru

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