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「夫婦仲は良好」なのに不倫に走る男女に僕が思うこと/カリスマ男の娘・大島薫

不倫

写真はイメージです

別に奪ってほしいとは思わない

 なるほど。罪悪感は他人の価値観でどうこう思うものではないので、彼女がそういうのなら実際彼女の中ではそうなのだろう。ちなみに不倫相手はどんな男性なのだろうか。 「夫と同い年ですね。それも偶然でした。厳密にいうと同じ会社でも他部署なので、『同僚』に入るのかよくわからないですけど」  どうなのだろうか。職場で挨拶くらいは交わしたりすることもあるのではないか。 「あ、それはあるって彼がいってました。夫のことを話したら、たまに見かけるって。でも、その程度みたいですよ」  僕はすこし安心をした。もし仲が良く、普段から話もする相手ならAVもびっくりの寝取られ設定だ。その不倫相手は独身なのだろうか? だとしたら、僕がその人なら夫から奪いたいと思いそうなものだが、そういうトラブルはないのだろうか。 「彼は独身だけど、そういえばそういうのはいってこないですね。結婚願望とかないんじゃないかな? 聞いたことないからわからないけど。私もいまの関係が心地いいから、別に奪って欲しいとも思わないですね(笑)」  不倫は不倫、割り切った関係ということらしい。そんな彼女らはどこで逢瀬を重ねるのだろうか。 「大体彼の家に行きます。彼も近所に住んでたので、そこもちょうど良かったですね。お夕飯のことがあるから、夫には『残業や飲みに行ったりするなら連絡して』と伝えているんですが、そういう連絡が来た日に作り置きした料理を用意して、不倫相手の家に行きます」  ということは2時間とか3時間とか、それくらいの時間ということですよね? 「そうですね。会ったら大体エッチをして終わりって感じです」  ということはセフレに近いのだろうか。 「あ、っていってもちゃんと彼のことも好きですよ。すごく趣味が合うんです。彼とはそいう関係でなくなっても、友だちでいたいと思っています」

風俗で遊べない女性にとっては

 なるほど。風俗通いに対して不倫というのは、平等ではないような気もしたが、考えて見れば女性が通える風俗なんてほぼないし、女性にとっては好きでもない相手とセックスをする感覚がある人は少ないだろう。男性側が隠れて性を楽しむのであれば、女性側にはこういったセフレ的な男性を作るしか方法がないようにも思える。 「それで、お家帰って作り置きの料理を温めて、さっきまでずっと調理していた風に帰ってきた夫に『おかえり』っていうんです」  バレたことはないのだろうか。 「バレてないですね。一度思ったよりも早く夫が帰宅していて、私があとから帰ってくる形になってしまったことがあったんですけど、そのときは『お醤油切らしてたから買い物に行ってた』ってことにしました」  まあ、たしかにそんな近場で、セックスだけして帰ってるんだとしたら、バレるリスクは相当低いだろう。しかし、嘘をついていることに変わりはない。そこに罪悪感を感じないのであれば、やはりその夫の風俗通いに対する仕返しや、嫉妬心のほうが強いのだろうか。 「あはは、そういうんじゃ全然ないんですよ、本当に(笑)。あの人は良い夫です。専業主婦の私のために仕事もがんばってくれているし、私も本当に夫が好きなんですよ。だから、彼にも息抜きが必要だし、私もそれを邪魔したくない。私が不倫をすることで、彼にかける負担が減るなら、それもアリじゃないですか。なんでもかんでも向き合うことが最善じゃないですから」  さっき同じようなことを聞いた気がする。貴重な話を聞かせてくれた彼女と取材場所に選んだ喫茶店を後にすると、彼女はこれから帰って夫の夕食を作るのだと話して、駅のほうへと去っていった。  2018年に厚生労働省が発表した資料によると、日本人の婚姻件数は約59万、対して離婚件数は20万7000という結果だった。統計上の話だから一概にはいえないが、これを元に「3組に1組が離婚」と評する意見もある。  そして、残りの2組に一体どのくらい、今回話しを聞いた『彼らのような家庭』があるのだろうか。冒頭に僕には結婚願望があると書いたが、この取材を終えても同じことをまた書けるだろうかと思うと、少々一考させていただきたい気持ちになる。  多目的トイレ不倫から始まった今回の不倫調査は、未婚の身には重い取材となった。
1989年6月7日生まれ。男性でありながらAV女優として、大手AVメーカーKMPにて初の専属女優契約を結ぶ2015年にAV女優を引退し、現在は作家活動を行っている。ツイッター@OshimaKaoru
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