更新日:2021年09月08日 14:14
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ネトウヨ芸人も安倍信者も、社会から消えてもらうのみ/倉山満

ネトウヨのご本尊、安倍晋三前首相の再登板など、検察にとって悪夢に他ならない

 ところが、’13年10月1日に消費増税を宣言。景気回復を腰折れさせるのは明らかだったが、安倍首相(当時)は、増税を求める時の財務事務次官木下康司の圧力に、無惨にも屈服した。ここで私は消極的支持に転じた。他にマシな人材がいなかったからだ。  事実、その後の6年間、安倍内閣は星の数ほど愚行を繰り返したが、そのすべてをナンチャラ民主党が無かったことにしてくれた。それでも、再増税は延期、日銀の効果的な金融政策のおかげで、緩やかながら景気回復を続けていた。  その事情も’19年で変わった。この年7月の参議院選挙で安倍内閣は消費増税を公約に勝利。10月に実行した。私はこの参議院選挙の結果が出た時点で、積極的不支持に転じた。今年に入ってからはコロナ禍で無能の限りを尽くし、検察人事に介入して大騒動を巻き起こした。あげく、6月に国会を閉じてからは、与党は「安倍後継」に向けての談合に明け暮れていただけだった。  当の安倍首相(当時)は明らかに憔悴しきっていたが、一部の佞臣(ねいしん)は「あと4年くらいやってもらいたい」と己の権力保持に邁進、ネトウヨ芸人と信者たちは相変わらず「安倍さんの批判を一切するな!」と高圧的な態度だった。  見るに見かねた私は、「安倍さん、このまま首相を続けると物理的に死ぬぞ! 佞臣どものタワゴトに耳を貸すな」と訴えた。これは皮肉ではなく、潔くやめる方が安倍さん本人の為だと考えたからだ。  幸い8月末、安倍さんは病気を理由に退陣表明を行った。その直後の世論調査では、それまでの不人気が嘘のように劇的な支持率となった。政治を知らない普通の人から見たら「景気を回復させてくれたし、病気なのに頑張っていたんだ」と映る。花道への御祝儀だ。後継は安倍内閣で番頭役だった菅義偉官房長官(当時)となった。綺麗な辞め方だった。  しかし、その直後に安倍首相は大手新聞の単独インタビューを受け、回復をアピール。これでは仮病を疑われても仕方なかろう。さらに議連を招集、自らの政権の政策は正しかったと訴えた。  菅首相としたら、面白いはずが無い。「いつでもお前の代わりに首相を引き受けてやる」と言われているようなものだ。

「3度目の安倍内閣」は検察にとって悪夢

 そして、「3度目の安倍内閣」は検察にとって悪夢に他ならない。  最近、連日のように安倍前首相の政治資金疑惑を読売新聞が報じている。例の「桜を見る会」で安倍事務所が後援会関係者を供応、その旨を政治資金として届け出なかったとのこと。ここで読売が報じている意味だ。この新聞は時の政権や官僚機構との関係が深い。その読売が連日のスクープということは、リーク元は明らかに検察だ。また、菅首相が承知していないはずがない。では、捜査はどこまで及ぶか。将来はともかく、現段階では強い警告だ。さすがに、一部の人が期待する「安倍前首相逮捕」は、はしゃぎすぎだ。  読売が報じている内容は政治資金規正法違反で、これが安倍前首相本人に及ぶとは考えにくい。だが、それを理由に安倍前首相を事情聴取、他の疑惑を引き出して、という展開なら別だが。  検察が政治の舞台に登場したら、命懸けだ。検察には政治的武器がある。「起訴猶予」である。検察が政治家の疑惑を掴んだ場合、引退などと引き換えに罪を見逃してやる場合がある。今の時点で検察が狙っているのは、安倍前首相の引退表明だろう。だが、下手な抵抗をすれば、名誉ある自決すら許されまい。  安倍さん、現職総理大臣と検察を甘く見ない方がいい。
1973年、香川県生まれ。救国シンクタンク理事長兼所長。中央大学文学部史学科を卒業後、同大学院博士前期課程修了。在学中から’15年まで、国士舘大学日本政教研究所非常勤職員を務める。現在は、「倉山塾」塾長、ネット放送局「チャンネルくらら」などを主宰。著書に『13歳からの「くにまもり」』など多数。ベストセラー「嘘だらけシリーズ」の最新作『嘘だらけの日本古代史』(扶桑社新書)が発売中

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