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「障害を笑いに変えたい」元ストリッパーとのコンビで目指す新喜劇

 コロナで活躍の場を奪われた表現者たち。日刊SPA!では昨年8月22日に公開した『元ストリッパーからお笑い芸人へ、障害者の相方と歩む「新喜劇」の夢』では、文字通り元踊り子で現在芸人として活動する「ちえちゃんてるちゃん」の子輝さん(53歳)のインタビューを紹介し、その波乱万丈な半生は話題を集めた。今回は輝子さんの相方であるボケの鈴本ちえさんのインタビューをお届けする。彼女は生まれつき脳性麻痺を持ち、右半身に障害を抱えているが、なぜ険しくも面白いお笑いの道を志したのだろうか。

芸人鈴本ちえさん、柔らかく喋る彼女が舞台に立つと急にハイテンションに

『ルミネtheよしもと』きっかけでお笑いを志す

――障がいをお持ちとのことですが、日常生活にどれくらい支障があるのでしょうか? 鈴本ちえ(以下、鈴本) 両手足に麻痺があり、特に右側の麻痺が強いのですが、歩くのが少し遅いくらいで日常生活は問題ありません。障害を持っていることに気づいたのは幼少期で、運動会のために短距離走の練習をしても早くならないことに気づいたんです。子ども心には、やっぱりショックでしたね。中学二年生のときに脚の手術をしたので、現在は安定して歩けています。 ――“芸人”を志したキッカケは? 鈴本 約10年ほど前に車椅子バスケットボールのチームに所属していたときがあり、その忘年会の一環で吉本の劇場『ルミネtheよしもと』に行ったんです。生のお笑いライブを初めてで、人気芸人の平成ノブシコブシさん、水玉れっぷう隊さんなどがいて。その舞台がすごく面白くて、「こんな世界があるのか~」と一気に魅了されました。  以降は足繁く劇場に通うようになり、特に水玉れっぷう隊さんが出られる新喜劇が大好きに。漠然と私もあの舞台に立ちたいな、という思いが芽生えたんです。そのあと吉本興業のお笑い養成所NSCに入るんですけど……、後からこの養成所は“学校で一番面白い人が行く場所”だって知りました(笑)。私はただお笑いの勉強するために行く場所だって思いこんでたので、そんなところだと知らずに入ってしまって(笑)。

周りから過剰に気を遣われてしまうのがちょっと嫌でした

――実際にNSCの授業はどうでしたか? 鈴本 同期にキング・オブ・コントやM-1でも活躍する空気階段や、オズワルドがいました。やっぱり面白い人が多いなあ~と思いましたね。私は在学中に二回くらいコンビを結成し、解散を繰り返す。漫才もコントも、ピンのネタもやっていました。授業ではダンスや筋肉トレーニングをすることもあり、障害を持つ私は自分が思っている以上に必死に見えちゃうみたいで。こちらとしては普通にやっているのに、周りから過剰に気を遣われてしまうのがちょっと嫌でした。  でも、ラッキィ池田さんによるダンスの授業があったんですけど、正確に踊るというよりは楽しんで踊る、みたいな内容でそこで褒められたことが嬉しくて今でも覚えています。 ――相方の子輝さんとは同期だそうですね。 鈴本 40代でNSCに入学というのも凄いのに、子輝ちゃんは元ストリッパーも隠さずアピールしていましたね。明るくて面白くて、先生たちからもよく声を掛けられていたし、やっぱり目立つ存在。歩きながら面白いことをする授業でも、子輝ちゃんは水前寺清子さんのモノマネをしながら「ワン、ツー!ワン、ツー!」って歩いてくるのがすごく面白いなと思って。共通点も多くずっと気になっていましたが、人気者でなかなかコンビを組むことはできなくて。トリオを抜けた子輝ちゃんがあとから誘ってきてくれたんです、「ちえ、組もうよ」って。一番最初に組みたいなと思ってから3年経っていました。驚いたけど、すごく嬉しかったです。
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障がいを弄るネタをやるときも
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