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140字で伝えるツイッター、ケンカ場となったのは“流行りすぎ”も原因?/鴻上尚史

盛んになったユースホステル、元の利用者はペンションへ

 いきなり、変な例えなんですが、僕が小学生から中学生の頃は、「ユースホステル」というものが世界的に盛んでした。  ドイツから始まった「若者に安価で安全な宿を提供し、世界中を旅しやすくしよう」という「ユースホステル」は日本でもあちこちにできました。  僕は中学生の時に、バックパッカーの一人旅に憧れて、ユースホステルの会員になり、泊まりました。  夕食のあとは、ミーティングの時間があって、ほぼ全員が参加しました。  みんなで歌を歌って、ゲームをして、本当に平和で楽しい牧歌的な風景が展開されていました。  参加者というか宿泊者も歌が抜群にうまかったり、話し上手だったり、社交的な人が多くいました。  が、ユースホステルが盛んになりすぎた結果、さまざまな人が泊まるようになりました。  わきあいあいとしたゲームや歌をやっていても、ただナンパ目的だったり、自分の話だけをえんえんとしたり、あまり上手くもない歌を一人で歌い続けたりする人が増えてきて、だんだんと楽しさが減ってきました。  そして、本当に穏やかに楽しく旅を楽しみたい人は、ペンションに行くようになりました。日本にペンションブームが起こったのは、80年代でした。

流行りすぎるということ

 ユースホステルは、ブームがさってずいぶん落ち着きました。  アート系の映画館の客席の静謐さと大ヒットしたエンタテインメント作品の映画館の客席の喧噪の違いというのでしょうか。  流行りすぎるということは、そういうことなのかとツイッターを見て思うのです。
ドン・キホーテ 笑う! (ドン・キホーテのピアス19)

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