慶應の学食に4323万円の支援。救われた「名物カレー」と81歳店主の真心
長引く新型コロナの影響は、多くの飲食店に大打撃を与えた。テイクアウトやデリバリーなど、コロナ禍を乗り切るために各々が知恵を絞る中、クラウドファンディングに挑戦して注目を集めたのが83年の歴史を誇る慶應義塾大学内の学生食堂「山食」だ。
2020年12月14日、目標金額500万円でスタートしたクラウドファンディングはわずか一夜にして目標額を突破。募集は2021年1月27日まで行われた結果、支援総額は4323万2000円、支援者数は4109人に達した。
「500万円もの支援金が一夜で集まるとは思っていませんでした」と驚きを隠せないのは、山食の代表を務める谷村忠雄氏。
「正直、まだ実感はわきませんが、慶應のすごさを改めて感じています。支援者の方たちから、クラウドファンディングのサイトを通じて多くの応援メッセージをいただきましたし、今年は年賀状もたくさん届きました。これほど多くの方にご支援をいただき、とてもありがたいですね」
山食が新型コロナで受けたダメージは甚大だ。授業がオンラインに切り替わると、通学する生徒が激減。授業の合間に訪れる学生がいなくなったのはもちろんのこと、1か月に5~6件、年間60~70件開催されていたパーティも0件になり、売り上げは前年比の20%まで落ち込んでしまう。
「大学構内にほとんど人がいない時期もあり、完全にお店を閉めていた期間もありました。最近は少し人が戻ってきましたが、それでもコロナ以前の2割程度です。
私は1990年に初代(夫)と2代目(妻)の代表を務めたご夫婦からこの山食の3代目を受け継ぎました。第二次世界大戦後の食糧難のときも経営は厳しかったと伝え聞いていますが、私が勤続した65年の間で今回ほど苦しかったことはありません。
長年、山食の味を守り続けてきましたが、このままでは山食の83年間が歴史と伝統が途絶えてしまう。そうした危機感からクラウドファンディングに挑戦してみることにしました」
コロナ禍で売り上げは前年比20%まで減少
勤続65年目に訪れた過去最悪の苦境
▼店舗情報
山食
東京都港区三田2-15-45 慶応義塾大学三田キャンパス西校舎中階
電話番号/ 03-3453-5971
営業時間/平日10時30分~16時、土曜10時30分~14時
定休日/日曜・お盆・年末年始
※新型コロナウイルスの影響により営業時間や定休日が変更になる可能性があります。最新情報は店舗にお問い合わせください
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