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コロナで突然クビになった非正規34歳「月収14万円がゼロ。うつ病に」

 新型コロナの感染拡大から約1年がたつも収束の気配はなく、日ごとに増える倒産、経営悪化、リストラのニュース。「泥舟から逃げ出さなくては!」と焦燥感は募るが、今、転職するとどうなるのか? 働いていたアパレルブランドを突然クビになり、転職続きの生活になってしまった男性を取材した。

コロナ禍で突然クビに!転職続きで年収が半減

コロナ転職

木村 健さん(仮名・34歳)

 長年ファンだったアパレルブランドで働きながら、岩手県で妻と二人、平穏な日々を過ごしていた木村 健さん(仮名・34歳)。だが、その日常も昨年3月に終止符が打たれた。 「コロナ禍が本格化した3月下旬、突然店長から『人員削減で来月からもう来なくて大丈夫』と解雇通告をされたんです。ただでさえ世の中が不安定なのに、月収14万円がゼロになったことで目の前が真っ暗になりました。ショップでは非正規社員の待遇だったので、つくづく『非正規って不安定なんだな』と痛感しました」  解雇された影響で木村さんはメンタルを病み、うつ病を発症。 「でも、生きていくために就活を始めました。ただ、当時の岩手県にはまだ感染者が出てなかったので、『地元で最初の感染者になりたくない』というプレッシャーから、対面が不要なリモート面接の仕事しか受けられませんでした」
コロナ転職

リストラを告げられた直後にうつ病を発症。現在も心を安定させる薬の服用を続けている

なんとか携帯ショップで働くことになるも…

 度重なる面接の末、なんとか5月から携帯ショップで働くことに。だが、そんな懸命な努力を現実はあっさりと踏みにじる。 「コロナの影響で店の売り上げが激減し、上司は毎日イライラ。ノルマもきつくて、怒鳴られるのは当たり前。接客業なのでコロナ感染のリスクもあるし、仕事に慣れるどころかうつ病が悪化してしまい、2か月で退社しました。  その後、アルバイトを転々としましたが200万円あった年収は半減。『コロナさえなければアパレルを続けていられたのに』と思うと悔しいし、給付金もなかなか入らず、社会から見捨てられたことでギリギリの精神状態でした」  木村さんは「社会人になってから接客ひと筋。でも、地獄を味わったことで、大好きな接客が恐怖に変わってしまった」という。
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時給900円のアルバイトから再出発
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