更新日:2021年02月15日 18:13
カーライフ

日産リーフでポルシェディーラーに行ってはいけない理由

ポルシェディーラーで日産リーフは充電できますか?

私:あのー、近所の住人ですが、そちらに設置されたEVの充電器、あれは何でしょう? 営業マン:はい! 1基はポルシェ・ターボチャージャーと申しまして、最大出力150kWでございます。ポルシェ・タイカンを30分以内に80%まで充電することができます。もう1基は普通充電器でして、出力は6kWほどです 私:そうなんですか! どちらもポルシェ専用ですか? 営業マン:はい、ポルシェ専用となっております!  なんと! あそこに日産リーフで乗り付けてもダメなのですね! リーフオーナーのみなさん、ポルシェセンターで充電するのは断念してください! 考えてみりゃ、タイカンオーナーが乗り付けたらリーフが使ってて待たされたなんて事態になったら、「フザケンナ!」ってなりそうだよな。 「日産ディーラーの急速充電器は他社のEVでも使えるのに、ヒドイ!」 そう思うのも無理はないですが、これはもう、各社の戦略の違いとしか言いようがありません。  日産は最初から、EVを広く大衆に売ろうと考え、ディーラーの充電器の利用をオープンにしたけれど、ポルシェはそもそも量販するブランドじゃない。スペシャルな方が乗るスペシャルなおクルマである。  テスラは量販を目指しているが、まずハイブランドから入り、下に広げつつある。つまりこっちもスペシャル系。スペシャル系だけに専用充電設備(テスラ・スーパーチャージャー)も拡充しつつあり、昨年暮れには日本最強250kWの超大出力充電器「V3」をデビューさせた。ポルシェやテスラのオーナーは、普通のチャデモでチビチビ充電してるド庶民を天上界から見下せるのだ! これがブランド戦略というヤツなのですね!

ポルシェディーラーの充電器、いつできた?

 ところで、あのポルシェディーラーの充電器、いつできたのだろう。
タイカンターボ

タイカンターボと我が家のランボルギーニ・カウンタック&フェラーリ328GTS(カバーかかってるやつ)

営業マン:いつ、と申しますか、まだタイカンの納車が始まっておりませんので、試乗車の充電に使っております!  なるほどお! まだ本格稼働はしてなかったんですネ! いや~、あそこで自分のタイカンを充電してみたいなあ。優越感バリバリだろうなあ。 営業マン:試乗車をご用意しています! ご来場をお待ちしております!
ポルシェディーラー

よく見ると、浜田山のポルシェディーラーにタイカン(もしくはタイカンターボ)が止まっている。この試乗車のためのポルシェターボチャージャーなのです!

 ちょっとだけ心がグラっときた……。  ただですね、ポルシェやテスラのスペシャルな急速充電器、ホントは高速のSAやPAにこそ欲しいわけです。でも、公共の場所だけにさすがにムリ。結局、EVでガソリン車みたいに長距離移動するのは、現状はまだぜんぜん不可能なのでした。買わずに済んでヨカッタ~! 日本でEVが普及するためには、高速SAPAの急速充電器の高出力化が何よりも求められると痛感します。それ以外は、そんなに高出力じゃなくてもいいんだけど。 取材・文/清水草一
1962年東京生まれ。慶大法卒。編集者を経てフリーライター。『そのフェラーリください!!』をはじめとするお笑いフェラーリ文学のほか、『首都高速の謎』『高速道路の謎』などの著作で道路交通ジャーナリストとしても活動中
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