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飲み会はダメで、東京五輪だけは意地でもやる理由は何なのか/倉山満

都知事殿は緊急事態宣言における主導権を失った

 もう一つ。政敵の小池百合子知事の化けの皮がはがれつつあるからだ。  小池都知事は、神奈川・千葉・埼玉の首都圏三知事を手下に、日本の政治そのものを振り回し続けた。事あるごとに「三バカ」を引き連れて首相官邸に乗り込み、やれ緊急事態宣言を出せだの、解除するなだの、延長しろだのと突きつけ、自ら煽動した世論を背景に菅首相に要求を呑ませてきた。  ところが再延長に際して、神奈川県知事には「他の2人も賛成しているから」と騙し、千葉・埼玉の両知事には「神奈川県知事も賛成だから」と、二枚舌を使ったことを黒岩祐治神奈川県知事に暴露された。森田健作千葉県知事(当時)に至っては、小池の動きを菅首相に御注進に及んだ。  もはや「首都圏連合」は崩壊した。都知事殿は相変わらず面の皮厚く「何が悪い」と開き直っているが、緊急事態宣言解除に際しては主導権を失った。めでたいこと限りなし。  ただ、医師会も都知事も、逆襲の機会を狙っている。菅首相が怯まないことだ。政策と政局の両方で。  政策においては、マスコミは「緊急事態宣言を解除したので、感染者が増加した」と煽るだろう。これに対しては言い返せばよい。「だから、どうした」と。  感染者(と称する陽性者)が増えたから、どうだと言うのだ。初動においては「コロナはペストのように危険な伝染病かもしれない」との仮説で、多くの政策が行われた。だが、今や死亡者多発の欧米ですらペストほど危険ではない。せいぜい、少しはマシなスペイン風邪だ。ましてや日本においては、少しはしつこいインフルエンザ程度だ。昨年は交通の制限などペストの時ですらやってはならない政策まで強行された。  だが、新コロが単なる季節性の風邪ならば、感染者(と称する陽性者)の数など、気にする意味がない。菅首相が、きっぱりと突っぱねればいい。

今年は選挙が目白押し

 政局においては、今年は選挙が目白押しだ。4月25日には国会議員の補欠選挙、7月4日には東京都議会議員選挙、そして9月は自民党総裁の、10月は衆議院の任期満了だ。  4月の補選で自民党は全滅だとの観測だが、軸は東京都議会議員選挙だ。そして総裁選と衆議院選挙は総理大臣が時期を操作できる。では、なぜ都議選が重要なのか。与党自民党の最大支持母体である創価学会が、都議選のプラスマイナス3か月間は、国政選挙を嫌がるからだ。  4月に負けて「選挙に勝てない総理」のレッテルを張られると、菅おろしが激化しかねない。だから訪米で外交成果を上げて、早期解散をもくろんでいると聞く。創価学会の十分な支援がなくとも、相手が立憲民主党ならば政権を失うような負け方はすまい。ならば、解散総選挙をやり切った方がいい。上手くいくかどうか。  創価学会はコロナをペストの如く恐れていて選挙活動にならないそうだが、これも「そんなに危険ではない」と説得する必要があるだろう。
1973年、香川県生まれ。救国シンクタンク理事長兼所長。中央大学文学部史学科を卒業後、同大学院博士前期課程修了。在学中から’15年まで、国士舘大学日本政教研究所非常勤職員を務める。現在は、「倉山塾」塾長、ネット放送局「チャンネルくらら」などを主宰。著書に『13歳からの「くにまもり」』など多数。ベストセラー「嘘だらけシリーズ」の最新作『嘘だらけの日本古代史』(扶桑社新書)が発売中

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