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トルコリラショックで大損した人たち。200万円が800円に

損切り注文のスリップなどで違法性の認定も

トルコリラ

コメルツ銀行の設定ミスでくりっく365の南アランド/円は’09年11月に突如、11円台から8円台前半まで大暴落

 為替が異常な値動きを見せると、時に訴訟沙汰になることも。荒井哲朗弁護士が話す。 「私が担当したのは’09年に起きた南アフリカランドの異常レート事件。東京金融取引所のくりっく365でランドが一瞬にして3割も暴落したのです。原因はコメルツ銀行の設定ミス。同行が誤って提示した異常に安いレートと顧客の成り行き注文が約定して急落し、その下げが新たな強制ロスカットを連鎖的に引き起こして大きな損失を抱える投資家が続出。その投資家が東京金融取引所とコメルツ銀行を相手に起こした訴訟では、同行の違法性は認定されました」  実勢レートからかけ離れたレートでの約定トラブルなら、違法性が認められる可能性があるというのだ。注文が“本来あるべき”水準で執行されなかった責任をFX会社が問われるケースも。 「米雇用統計発表直後、損切り注文が大きく滑って約定したことを巡って起こされた裁判では、FX会社に為替レートを配信していた金融機関に当時のレートを提出してもらいました。その結果、本来約定すべきレートで約定していなかったことが判明。勝訴的和解が成立しました」

大損しても再起の道はある?

 国内FXはFX会社と投資家との相対取引が主流だ。取引所取引と異なり、投資家には適切に約定したかどうかなどわからない。だが、裁判を起こすことで、そのときの適切なレートを確認できることもあるのだ。 「為替レートというのはそもそも不明朗。株価のように客観的なレートがあるわけではない。NDD(インターバンク市場直結型の口座)でもコンマ数秒の違いでレートが変わるし、『システムが脆弱』と言われればレートの違いを許容せざるを得ない。その点でFX最大のリスクは為替変動よりも、トルコショックのような流動性リスクやシステムトラブルなど業者そのものに起因するリスクにある」  なお、借金を抱えてしまった場合、交渉次第で遅延損害金なしで毎月数千円からの返済に応じるFX会社もあるとか。大損しても再起の道はある? <取材・文/SPA!トルコリラショック取材班 図版/ミューズグラフィック チャート提供/TradingView
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