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モラルや正論が通じない「ぴえん系」カルチャーの実態とは?佐々木チワワ×真鍋昌平

家庭不和があった際の逃げ場にもなっている

ぴえん

11月30日発売の『九条の大罪』第4巻は、“ぴえん女子”しずくの物語。欲望渦巻く街・歌舞伎町で起きた殺人事件の真相とは イラスト提供/©真鍋昌平・小学館

佐々木:歌舞伎町には刹那的に生きている感じに加えて、「まわりになに言われても関係ないじゃん」といった人たちが集まりがちですよね。夜の仕事のこともそうだし、親や世間の評価なんて気にせずに自分と自分のまわりの世界を最優先にする人が多いからこそ盛り上がりやすい側面はあるのかなと。それに加えて、トー横にはネット配信者たちも集まっているので、その「推し」に会いにくる若いコも多い。それこそ、トー横にいた12歳のコが淫行して事件になった例もありますから。 真鍋:今ではホストも(客の)年齢制限が厳しいですし、ジャニーズや韓流アイドルの「推し」と違って、一部の配信者たちには実際に会いに行けてしまうわけですね。 佐々木:そうなんです。なので、子供が「推しだよ」と言った対象がどんな職業や立場なのか、親はちゃんと見たほうがいいと思います。それに、歌舞伎町やトー横は私のように家庭不和があった際の逃げ場になっている可能性もあるので、親世代にも文化として知ってほしい気持ちはありますね。

彼らを無理やり導いても空虚は埋まらない(佐々木)

――『闇金ウシジマくん』では15歳の少女がホストにハマッた末に衝撃的な結末を遂げ、『九条の大罪』ではぴえん系女子が悲しい事件を起こします。逆に実社会において彼女たちのような存在を救うにはどうすればいいと思いますか。 真鍋:いわゆるメンヘラ系女子全般に限らず、アウトローを取材しても感じることですけど、はたから見て明らかに騙されたり、不幸な目に遭わされていても、その時に本人が喜んでいて幸せなので何を言っても焼け石に水なんですよね。 佐々木:わかります。DVなんかされていれば別ですけど、ホストや彼氏と無理やり引き離したところでそのコの心の空虚を私が埋められるわけでもないし、止める権利もない。何かあったら連絡してね、くらいしか言えない。
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現役女子大生ライター。10代の頃から歌舞伎町に出入りし、フィールドワークと自身のアクションリサーチを基に大学で「歌舞伎町の社会学」を研究する。歌舞伎町の文化とZ世代にフォーカスした記事を多数執筆。ツイッターは@chiwawa_sasaki

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