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モラルや正論が通じない「ぴえん系」カルチャーの実態とは?佐々木チワワ×真鍋昌平

モラルや正論だけでは救われない人間を描き続ける漫画家・真鍋昌平氏と、歌舞伎町で退廃的に生きる若者たちを取材するライターとしてメディア露出が増えている佐々木チワワ氏の対談が実現!現代の歌舞伎町の住人たちを、両者はどう見るのか――。

モラルや正論が通じない「ぴえん系」カルチャーとは

ぴえん

佐々木チワワ氏(左)、真鍋昌平氏

『闇金ウシジマくん』から一貫して社会の暗部を描き続け、最新作『九条の大罪』ではぴえん系女子にもフォーカスした漫画家・真鍋昌平。そして、15歳から歌舞伎町に通い続けてティーンの生態を追い、週刊SPA!連載「『ぴえん世代』の社会学」も話題となった現役女子大生ライター・佐々木チワワ。世代もジャンルも超えながら同じ世界を眺めるふたりが、ぴえん系女子や歌舞伎町の「今」を語った。 ――異なる舞台ながら共に「ぴえん系女子」を描いたおふたり。プライベートでも親交があるそうですが、どういったご縁だったのでしょうか。 真鍋:歌舞伎町でいろいろと面白いお店を経営しているストリッパーの友達がいるのですが、その方からの紹介です。僕がちょうど(『九条の大罪』で)ぴえん系女子を取材している時期だったので、「それなら最適で面白いコがいますよ」と繫いでもらったんですよね。 佐々木:ただ、実はそれ以前に別の知人の紹介で真鍋先生の誕生会に呼んでいただいて、そこで一度喋ってはいたんです。先生はもう随分とお酒が回ってましたけど(笑)、私のような小娘に対して敬語で丁寧に話してくださって本当に優しい人なんだなと感じました。 真鍋:そういった感想の後に「あんな漫画描いてるのに」とよく言われます(笑)。僕も若い頃から新宿には魅力を感じていましたけど、歌舞伎町はさすがに怖くて。

トー横のコを取材したら冷たくされました(真鍋)

――確かにアジア屈指の歓楽街は、さまざまな“闇”も抱えています。 真鍋:昔に比べれば随分と平和になったかもしれませんけど、15歳から通われているなんてすごい。 佐々木:実家がタクシーで行ける範囲なので、最初は本当に家出がきっかけです。2万円握り締めて友達とふたりで2日間過ごして。変な名前のラブホテルを探して回るだけでいくらでも時間が潰せた輝かしい青春です(笑)。 真鍋:僕なんかその頃はまだ袖で鼻水拭いていましたよ。でも、実家から近くても歌舞伎町は世界が全然違いますよね。 佐々木:街のお兄さんやお姉さんから話しかけられたんですけど、「ただの若い女」として扱ってくれたのが逆に嬉しくて。肩書や学校の成績なんか誰も気にしないし、見た目や、若いことの価値だけが大事で、「夢なんかなくてもいい」的な空気感が当時の私には本当に楽で居心地がよかったんです。 真鍋:最近は特に世の中が鬱屈としてるから、トー横にいる若いコたちも同じ気持ちなのかもしれませんね。チワワさんの場合と違って自分が取材でその子たちに声をかけた際は冷たい対応をされましたけど(笑)、本人たちは本当に楽しそうでした。でんぐり返ししたり、相撲取ったり(笑)。
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家庭不和があった際の逃げ場にもなっている
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現役女子大生ライター。10代の頃から歌舞伎町に出入りし、フィールドワークと自身のアクションリサーチを基に大学で「歌舞伎町の社会学」を研究する。歌舞伎町の文化とZ世代にフォーカスした記事を多数執筆。ツイッターは@chiwawa_sasaki

「ぴえん」という病 SNS世代の消費と承認

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