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狂気と化しているプーチンの言動を、日本はどう捉えればよいのか/倉山満

狂気と化しているプーチンの言動を、日本はどう捉えればよいのか

ポーランドワルシャワ日本語学校教頭の坂本龍太朗氏

ポーランドワルシャワ日本語学校教頭の坂本龍太朗氏(左)は、「(ウクライナの)隣の隣の国が日本なんです。決して他人事ではないと思います」と語る 写真/「チャンネルくらら」

 ロシア大統領のウラジーミル・プーチンは「4日でキエフを落とす」と豪語していたようだが、その目論見は崩れた。ロシアのウクライナ侵攻は難航している。ウクライナ大統領のウォロディミル・ゼレンスキーが、ここまで奮闘すると、誰が予測できただろうか。まるで首都キエフで死のうとしているかの如く、亡命を拒否している。ウクライナ国民の士気は高く、軍は圧倒的な大軍を相手に何度も勝利している。  ウクライナは「NATOの盾」のような国だった。アメリカをはじめ西洋各国は、ウクライナに冷たい。だが、唇破れれば歯寒し。民間人への無差別攻撃、病院への攻撃、原発への砲撃、核兵器の先制使用による威嚇、そしてチェルノブイリ原発を停電させた。狂気と化しているプーチンの言動を、固唾を飲んで見守っている。  では、日本はどう捉えればよいのか。答えてくれる言論人は少ない。

プーチンが光の戦士? ウルトラマンに謝れ

「ウクライナはネオナチだ」「ウクライナはロシア人を大虐殺している」などのプーチンのプロパガンダを真に受ける連中は序の口。「プーチンは闇の政府・ディープステート(DS)と戦っている」「DSとは、ユダヤ人の国際金融資本だ」「ウクライナはDSの回し者」「DSと戦うプーチンは光の戦士、最後のヒーローだ」などなど、SFの如き異世界言論を繰返す輩が後を絶たない。「光の戦士」などウルトラマンのことかと思っていたが、現実の国際政治を語る際に、いやしくも評論家だの作家だのジャーナリストだのが口にしている。  連中は自分で決めた設定が崩壊し、「ゼレンスキーがユダヤ人だからカモフラージュになっているが、ウクライナはネオナチだ」「プーチンとゼレンスキーは裏で手を組んでいる」「真の黒幕はアメリカのバイデンだ」など、もはや取り繕えない。プーチンが光の戦士? ウルトラマンに謝れ! 妄想にも限度がある。ちなみに、「ウルトラマン」が何なのか知らない人は、『ウルトラマンの伝言』(PHP新書)を読めばよい。あれは名著だ。
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「ロシアの言い分に耳を傾けよ」地上波でも飛び出す耳を疑うような言論たち
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1973年、香川県生まれ。救国シンクタンク理事長兼所長。中央大学文学部史学科を卒業後、同大学院博士前期課程修了。在学中から’15年まで、国士舘大学日本政教研究所非常勤職員を務める。現在は、「倉山塾」塾長、ネット放送局「チャンネルくらら」などを主宰。著書に『13歳からの「くにまもり」』など多数。ベストセラー「嘘だらけシリーズ」の最新作『嘘だらけの日本古代史』(扶桑社新書)が発売中

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