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参院選次第で、良くて経済的破滅、悪ければ軍事的破滅が待っている/倉山満

日本人は、岸田文雄首相から宣戦布告を受け取った

 日本国民は喧嘩を売られた。
岸田現首相、菅前首相

’21年9月、自民党総裁選挙で新総裁に選出され、顔をほころばせているかのようにも見える菅義偉前首相と、口を真一文字に固く結んでいる当時総裁の岸田文雄首相(右) 写真/産経新聞社

 本欄では再三再四、日銀人事の重要性を訴えてきた。日本の金融政策、すなわち経済政策は日本銀行の政策決定会合で決められる。決めるのは、1人の総裁、2人の副総裁、6人の委員。  現在、景気回復に賛成なのは黒田東彦総裁、それに「リフレ派」と言われる若田部昌澄副総裁、片岡剛士委員、安達誠司委員、野口旭委員の計5人だ。「衣の下から金利の引き上げ」で、今の黒田バズーカを止めたくて仕方がない衝動に駆られているのが、日銀出身の雨宮正佳副総裁。他の3人は基本的に総裁に追随する人たちと見られている。  7月にその中で、リフレ派の中でも景気回復最強硬派の片岡委員を含めた2人の委員が交代する。その人事は、岸田内閣の経済政策の試金石と目されてきた。3月1日に提示された案は、田村直樹氏と高田創氏だ。市場は、田村氏を人畜無害だと看做しているようだ。  一方で、高田氏は知る人ぞ知る、筋金入りの反リフレ派だ。試しに「高田創 とんでも」と検索してみよ。自分で「とんでも」を名乗っているが、事実「景気回復など諦めて、さっさと金利を引き上げよ」などと放言している。この人事は岸田首相自らが厳選したとのことだが、つまり日本人は宣戦布告を受け取った。岸田文雄首相からだ。

選挙を乗り切れば、景気回復路線を止めるのは明らか

 岸田内閣は夏の参議院選挙で勝つまでは、何が何でも事なかれ主義を貫くつもりらしい。しかし、選挙を乗り切ればどうか。景気回復路線を止めるのは明らかだし、隙あらば「増税」に言及する側近に溢れている。地獄の到来だ。  もしかしたら「マスクを外して良いから増税を飲め」と要求してくるかもしれない。一部のヤブ医者どもは「7月にはマスクを外せるかもしれない」などとほざいているが、参議院選挙までは国民に猿轡を嵌めようとの魂胆以外に何があるのか。その時、DV夫に洗脳された薄幸の妻のような精神状態に追いやられた日本国民の大半は、唯々諾々と応じるだろう。感謝しながら。  牙を隠す岸田自民党に政権担当能力があれば、まだ救いがある。しかし、ウクライナ情勢への対応を見せつけられると、絶望しかない。

今や自民党の政権担当能力は、蓮舫以下に落ちぶれた

 まずロシアがウクライナを侵略した同時刻。岸田首相は参議院予算委員会に出席していた。立憲民主党の蓮舫議員が「国家安全保障会議を開かなくていいのですか。我々は柔軟な対応をしますよ」と呼びかけているのに、「適切な時期に開きます」としか答えなかった。  その場で「今すぐ開きます」と答えられない時点で、事の優先順位がついていない。隣国が侵略戦争を始めた以上に重要な事柄、何があるのか? 結局、役人からカンペが差し入れられて、委員会を中断、国家安全保障会議を開くに至ったが。  蓮舫議員と言えば「最悪の民主党政権」の象徴のような人物だ。だが、今や自民党の政権担当能力は、その蓮舫以下に落ちぶれた。自民党幹部は「野党に言われて開いたのではない」と強弁するが、昔の自民党なら野党に言われる前にカンペを差し入れたものだ。
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「岸田首相はリーダーだ」アメリカが異例の声明
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1973年、香川県生まれ。救国シンクタンク理事長兼所長。中央大学文学部史学科を卒業後、同大学院博士前期課程修了。在学中から’15年まで、国士舘大学日本政教研究所非常勤職員を務める。現在は、「倉山塾」塾長、ネット放送局「チャンネルくらら」などを主宰。著書に『13歳からの「くにまもり」』など多数。ベストセラー「嘘だらけシリーズ」の最新作『嘘だらけの日本古代史』(扶桑社新書)が発売中

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