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安倍氏の国葬に反対するのは“非国民”?勝手に決めるな/倉山満

選択肢のない日本では、政権与党が無限大に増長する

 確かに「選挙に勝てば次の選挙まで政権与党は何をやっても良いはずだ」との考え方もあろう。気に入らなければ、国民が次の選挙で審判を下せばいい、と。しかし、現実の日本の国政選挙では、自民党以外が選択肢になりえていない。自民党がどんなに横暴な振る舞いをしようが、国民に制裁されることが無いなら、政権与党は無限大に増長するに決まっているではないか。  自民党は、ある時期までは政権与党として役割を果たしてきた。間違いなく、日本人を食わしてきた。だが、この30年ほどはどうか。他がもっとひどいから惰性で権力の座に居座っているだけではないか。「結果さえよければそれでいい、国民は一切の文句をつけるな」といった権力主義的な態度だと、その結果も出せなくなるのが世の常だ。

「選挙で勝ったから何をやってもいい」ではない

 ところで、日ごろは意見が一致したためしがない、立憲民主党と日本共産党、日本維新の会と国民民主党の4党が、国葬の件に関しては一致した。「政府に議会での説明を求める」だ。そもそも政府は法律の強引な解釈で国葬を強行するのだから、議会で説明する責任があるのは当然だ。野党にマトモなことを言われ、政府は野党の悪口だけを言っていられなくなった。 「選挙で勝ったから何をやってもいい」ではなく、「選挙に勝って権力を振るうのだから、その根拠を説得し続けなければならない」のだと政府与党は肝に銘じるべきだ。
1973年、香川県生まれ。救国シンクタンク理事長兼所長。中央大学文学部史学科を卒業後、同大学院博士前期課程修了。在学中から’15年まで、国士舘大学日本政教研究所非常勤職員を務める。現在は、「倉山塾」塾長、ネット放送局「チャンネルくらら」などを主宰。著書に『13歳からの「くにまもり」』など多数。ベストセラー「嘘だらけシリーズ」の最新作『嘘だらけの日本古代史』(扶桑社新書)が発売中

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