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佐藤優の人生相談【ケータイゲームにハマるのは悪いことか?】

【佐藤優のインテリジェンス人生相談】
“外務省のラスプーチン“と呼ばれた諜報のプロが、その経験をもとに、読者の悩みに答える!

◆相談者 スカルプ(ペンネーム) 自営業者 男性 37歳

スマホ 最近、ケータイゲームにハマって、毎月5万円ぐらいの請求が来ます。本来は無料ですが、ゲームを有利に進めていくためには有料のアイテムを買ったりする必要があります。一度始めたら抜けられない麻薬のようなものです。ただ、私はこの面白さを否定しません。ニュースでは子供もゲームにハマって親のほうに何万円もの請求が行くという話もあります。それに対する批判が多いため、今後は、子供は毎月何万円までしか課金できないという仕組みになるようですが、私はこれはおかしいと思います。子供にケータイを持たせる必要がないからです。何でも政府や東電のせいにする人が溢れているように、他人のせいにする人が多すぎます。佐藤さんは、ケータイに関する親たちの主張をどう思っているのでしょうか?

◆佐藤優の回答

 スカルプさんの相談は、2つに分けて考える必要があります。まず、ゲームの話です。これが仮にギャンブルだったならば、私は直ちに「自分の意志でやめられないならば、精神科医か心療内科医に相談したほうがいい」と答えました。それは、ギャンブルにハマる人は、“主観確率”の世界に生きているからです。嘉悦大学の高橋洋一教授は、主観確率についてこう述べています。

<「自分だけは違う」と勝手に思い込んだ確率のこと(笑)。これを利用したあざとい商売の代表格が、宝くじ。あれは合理的に考えたら、買うほうがバカなの。だって、収益金の四五%くらいしか賞金に回らないんだよ。つまり、払い戻し率はたったの四五%。残りは、地方自治体の収益に四一%。経費といわれる部分に一四%。しかも「経費」のなかには、総務省関係の公益法人に事業資金として回されるカネまで組み込まれている。もう天下り役人を助けてあげているようなもの。でも、買う人は必ずこういうんだ。「それは知っている。でも、俺は違うんだ。きっと当たる」って(笑)。まあ、非合理な夢を買うのが悪いとはいわないけどね。>(『数学を知らずに経済を語るな!』126~127頁)

 人間は、客観的に見れば愚かな行為であっても、他人に危害を加えない限り、それをしてよいという幸福追求権(あるいは愚行権)を持っています。それを、高橋教授は「非合理な夢を買うのが悪いとはいわない」と表現しています。ゲームならば「一発逆転」でこれまでの損失を取り返すという発想が出てこないので、この点でギャンブルよりは安全です。

 問題は、毎月5万円というゲーム代です。私の経験から、ゲームなどの純然たる遊びに使うカネは、可処分所得の10%以内に抑えないと、生活に悪影響を与えます。手元に経費や税金を引いて毎月50万円のお金が残るならば、この調子でゲームを続けても構いませんが、経済的余裕がなければ、ゲームに投入するカネを減らしたほうがよいと思います。

 スカルプさんの相談の後段、すなわちケータイゲームをめぐる、子供を持つ親の主張に関しては、一般論で論じることはできません。具体的に、どの子供がどういう事情で携帯電話を持ち、また、親がゲームに小遣いをどれくらいまで使うことを認めているかについての情報がないと何とも言えません。スカルプさんは「批判が多いため、今後は、子供は毎月何万円までしか課金できない仕組みになるようですが、私はこれはおかしいと思っています」と述べていますが、この報道が事実であるとしてもスカルプさんの生活に何か危害を与えるのでしょうか。あるいは、他者の子供がゲームにハマっていることで、スカルプさんに何か影響があるのでしょうか。自分の趣味について干渉されたくないならば、その原則を他人に対しても適用するべきです。そうでないと社会が窮屈になります。

【今回の教訓】
非合理な夢を買うなら可処分所得の10%まで

◆募集
佐藤優さんへの相談を募集中。匿名希望の方はペンネームを記入してください。採用者には記念品をお送り致します
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【佐藤優】
60年生まれ。’85年に外務省入省。在英、在ロシア連邦大使館、国際情報局分析第一課で活躍。’02年に背任の容疑で逮捕。『インテリジェンス人生相談』個人・社会編に続く第3弾、新刊『インテリジェンス人生相談<復興編>』が発売中!

◆今回の参考文献
数学を知らずに経済を語るな!

数学で経済を読む!

インテリジェンス人生相談 復興編

超個人的な問題から佐藤優が導<日本復興のシナリオ>とは!?




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