就活生のSNS「裏アカ」調査の最前線。飲酒、喫煙…人事部につつぬけ
これから新入社員が入社、新卒採用シーズンを迎えるなかで近年、企業のコンプラ意識の高まりなどを背景に注目を集めているSNSの「裏アカ」調査。
特に直近の外食産業を中心に大きな波紋を呼んでいる“迷惑動画”の件もあり、人材を採用する企業側も採用候補者の人間性やネットリテラシーについて、よりセンシティブにならざるを得ない状況だ。現在は、人事担当の9割が採用候補者のSNSを事前にチェックしているともいわれている。
そんななか、現在は240社以上の企業と契約し、年間約6,000件の裏アカ調査を行う法人専門の調査会社が企業調査センターだ。
企業調査センターは、2008年から15年以上にわたって、企業における取引先の信用調査や債権回収に伴う財産調査など、さまざまな経験や知見を培ってきた。こうしたなか、SNSが台頭し、誰もが情報発信をできる時代になったことで、ネットリテラシーについても調査対象になり、今に至るという。
「これまでは企業の人事から、採用候補者のSNSチェックを含めたバックグラウンド調査を行っていましたが、それがいろんな企業のSNS調査をしていくなかで、複数のアカウントを使い分けている実態が浮き彫りになった。このような流れのなかで2020年9月から、裏アカウントの特定を含めたSNSチェックのみに特化した『Sトク』を立ち上げたんです」(角田さん、以下同)
SNSは、個人の趣味・嗜好や日常の過ごし方、考え方などが反映されている。他方、メインで使うアカウント(本アカ)以外に、同じ中学や高校出身、趣味が一緒の人同士など、それぞれのネットワークごとに繋がるサブのアカウント(サブアカ)を作っている人も多い。
そのサブアカの中でも、日常の愚痴や社会に対する悪口など、本アカとは違う一面を見せる「裏の顔」が色濃く現れるアカウントが、“裏アカ”という呼称で呼ばれるようになったわけだ。
こうした背景はもとより、コロナ禍でオンライン化が進んだことで、新卒採用の現場でもWeb面接が一般的になった。
これが、Sトクへの依頼が増加している要因にもなっていると角田さんは言う。
「やはりオンライン上での面接だと、対面のときよりも採用候補者の特性がわかりづらく、その人のSNSをチェックして、Web面接ではわからなかった性格や人間性を知りたいというニーズが高まったんです。また、Sトクのことが一度Yahoo!ニュースに取り上げられたのを機に、調査依頼を希望する企業からの問い合わせも増えていきました」
コロナ禍における新卒採用では、エントリーシートやWeb面接だけではわからない、その人の本性や素顔を知りたいという人事担当が多くなっている。
同社の提供する裏アカウント特定サービス「Sトク」は、昨今の採用事情からニーズが高まっているという。そこで今回は企業調査センターで調査部長を務める角田博さんに、裏アカ調査の実態やその最前線を聞いた。
SNS台頭の影で育まれてきた“裏アカ”文化
裏アカ調査の需要拡大はコロナ禍で増えた「Web面接」が要因
1986年生まれ。立教大卒。ビジネス、旅行、イベント、カルチャーなど興味関心の湧く分野を中心に執筆活動を行う。社会のA面B面、メジャーからアンダーまで足を運び、現場で知ることを大切にしている
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