「山崎ハイボール缶」に“660円の価値”はあるのか?安いハイボール缶と飲み比べた結果は
ウイスキーづくり100周年を迎えたサントリーが、2023年8月8日(火)、「サントリープレミアムハイボール<山崎>」を数量限定リリースしました。660円(税込)と、一般的なハイボール缶の約3倍の価格設定はなかなか強気に見えます。
しかし、同年6月に限定発売された白州ハイボール缶は、同じ価格ながら瞬く間にスーパー、コンビニなどの店頭で品薄に。現在はネットショップでのセット売りがメインとなっています。
果たして今回の山崎ハイボール缶は、お値段に見合った価値があるのか? 同じくサントリーから出ている定番商品や、実際のボトルウイスキーから作るハイボールとの飲み比べを交えて検証しました。
シングルモルトウイスキー「山崎」の特徴は、まず何と言ってもミズナラ樽で熟成した原酒を使っていること。この樽は日本原産の非常に稀少なもので、甘く艶っぽい、独特のオリエンタルな香りをまとわせることができると重宝されています。
山崎のもう一つの特色は、原酒のバリエーションが世界に類を見ないほど多いことです。ウイスキーの原酒は、同じ貯蔵庫の隣の樽ですら味わいが違うくらいに繊細。そのため、複数の原酒をブレンドして瓶詰めするのが主流です。山崎蒸留所には最新鋭の設備が揃っていて、多彩な原酒を造り分けることが可能。
山崎ハイボール缶は、その原酒のなかからハイボールに合う“オリジナルブレンド”で生み出されているんです。それにより、お手軽な缶酒とは思えない“厚みのある味わい”を実現しているとのこと。
さて、前置きはこのくらいにして、実際に飲んでみました!
缶のまま飲まずに、氷を満たしたグラスに注ぐのを推奨されているので、ひとまずそれにならってみます。
シュワシュワと炭酸が弾けるグラスに鼻を近づけてみると、樽の香りがふんわりと上がってきます。匂いがもうすでに、ハイボール缶のイメージとは一線を画すエレガントさ……。飲むと、上品な甘さと旨み、まったりと色気のある樽フレーバーが口を満たします。でも、後口は意外なほどスッキリとしていました。
何より一番印象的だったのは、安価な缶酒にありがちな、イヤなアルコール感がなかったこと。アルコール度数9%とハイボールのなかでは濃いめなのに加え、炭酸の発泡は弱めにもかかわらず、上質なウイスキーの香味だけが前にくる。このバランスは絶妙だと思いました。
なお、氷で加水せずに試しに飲んでみたところ、アルコール感と甘ったるさを感じました。氷があることで、むしろ香りもふくよかに広がります。
“ミズナラ樽熟成”と“多種多様な原酒”
氷を満たしたグラスに移し、いざ実飲!
フリーライター。神戸・大阪の編プロに8年勤務し、グルメ・街ネタ誌や飲食業界誌などを手がける。取材経験は1500件以上。某純文学新人賞の最終選考に3度残ったことがある。現在はWEBサイト「LIQLOG」などで、ビギナーにやさしいお酒の基礎知識や取材記事を執筆中
記事一覧へ
X(旧Twitter):@kawase_syota
記事一覧へ
この記者は、他にもこんな記事を書いています
ハッシュタグ