販売価格330万円、限定100本の「山崎55年」抽選販売。「山崎50年」は3250万円に値上がりの過去も
サントリーから「山崎55年」が6月30日に発売されると発表されました。当然、数量限定となりますが、たった100本しかないので抽選販売です。募集期間は2020年2月5日から14日までで、さっそく筆者も応募してみました。
価格は300万円+税で330万円。容量は700mlで、アルコール度数は46%。1ショット(30ml)の原価は14万4000円と超高額です。そもそも「山崎」とは何なのでしょうか。
サントリー創業者である鳥井信治郎氏の次男である佐治敬三氏は、2代目のマスターブレンダーとして、日本を代表するシングルモルトウイスキーを作ろうと決意。チーフブレンダーの佐藤乾氏とともに、所有している膨大な原酒をテイスティングし、1984年3月14日に「山崎」が生まれました。山崎のラベルの筆文字は、佐治敬三氏が書いています。「崎」の右側は「寿」にも見えるようになっており、サントリーの前身だった「寿屋」という意味も込められています。
味わいは複雑で深みがあり、落ち着いた印象です。日本の作るウイスキーというイメージをとても高いレベルで実現した、最高峰の一つだと思います。世界での評価も高く、2003年のISC(インターナショナル・スピリッツ・チャレンジ)にて山崎12年が金賞を獲得したのを皮切りに、数えきれないくらいの受賞歴があります。
サントリーは過去に3回、合計250本の「山崎50年」を発売しています。価格は100万円で、この時も争奪戦が起き、すぐに売り切れてしまいました。筆者は買うことができませんでしたが、BARで2度飲む機会がありました。もちろん、原価でも1杯4万5000円もするので、いい価格でしたが、C(セメダイン)というか白檀の香りと、想像通り樽感ばっちりのウッディで甘やかで超絶複雑な味わいに衝撃を受けました。
当然、レアものなのでプレミアがつきました。販売価格は1本100万円でしたが、2018年1月に行われたサザビーズのオークションで3250万円で落札されています。なんと30倍もの値段になったのです。
「山崎55年」の55年という表記は、「最低でも55年以上熟成した原酒のみを使っている」という意味です。実際、56年前、1964年蒸留のホワイトオーク樽で熟成した原酒や、60年前、1960年蒸留のミズナラ樽で熟成した原酒などをブレンドしています。サントリーのウェブサイトにあるテイスティングノートには
ミズナラ樽原酒に由来する赤みがかった深い琥珀色が美しく、超長期熟成ミズナラ樽原酒ならではの、伽羅や白檀を思わせる複雑な香りと、甘みとほろ苦さからウッディネスへと続く味わい、かすかな苦みとともに続く濃厚な余韻をお愉しみいただけます
と書いてあります。「山崎50年」の延長上にあるような表現で、読んでいるだけで、涎が止まりません。
ボトルに刻まれた「55」の銘には漆工芸の蒔絵を施しています。専用箱は樽にも使われるミズナラ製で、漆塗りで仕上げています。蓋を覆っている封紙は金箔を漉き込んでおり、組紐で留めています。
「山崎55年」は50年と比べても3倍の価格になっていますが、そのレア度を考えれば仕方のないところでしょう。それでも、転売のターゲットになることは間違いありません。ウェブサイトには「商品の転売を目的としたご購入は固くお断りいたします」と明記されていますし、ガラス瓶に購入者の名前をローマ字で刻印することになっており、転売を防止しようとしています。しかし、おそらく転売目的の応募が殺到していることでしょう。将来、いくらになるのか末恐ろしいところです。
筆者も応募しました。もちろん、自分で飲みたいので、転売するつもりはありません。今日のバーホッピングでは、当選することを祈りながら山崎を飲もうと思います。
お酒を毎晩飲むため、20年前にIT・ビジネスライターとしてデビュー。酒好きが高じて、2011年に原価BARをオープン。2021年3月には、原価BAR三田本店をオープンした。新型コロナウイルス影響を補填すべく、原価BARオンライン「リカーライブラリー」をスタート。YouTubeチャンネルも開設し生き残りに挑んでいる
酒好きなら知っておくべき「山崎」の基本
過去に発売された「山崎50年」はオークションで3250万円に!
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