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マクドナルドは売上高・営業利益ともに過去最高を更新。モス、ケンタ…“競合チェーンとの違い”は明白

徹底的な効率経営で高い利益率を維持

多様なニーズに対応し、収益機会の増大と経営リスクの分散を図る為に多業態戦略を展開する外食大手が多い。一方、単一業態戦略で一気に攻勢をかけるのがマクド。 経営資源の集中で効率経営を実現しており、利益率の高さは最適なビジネスモデルであることを物語っている。 2025年~2027年の中期経営計画に於いても、店舗ポートフォリオの最適化とFCビジネスの強化・拡大を目標に掲げて、更なる成長を目指しているようだ。 店舗運営では、店内飲食・テイクアウト・ドライブスルー・デリバリーと4つの販売機能を有しているが、ムリ・ムダ・ムラが生じる体制をなくし円滑な運営ができるようクルーを各機能に効果的に割り当てている。 店外販売では、デリバリー機能でウーバーなど外部配達員と自前のマックデリバリーの拡充で、更なる比率(売上の約10%)の向上を目指しているなど、限られたキャパシティを有効活用している。 ドライブスルーにも各担当者が付きお客さんにサポートや誘導で1台当たりの注文時間と引き取り時間の短縮化を目指している。 また、店内もモバイルオーダーの活用でテーブル席やドライブスルーからも注文できて、受け取り方や支払い方法もいろいろ選べて顧客の利便性を向上させている。 これらで、レジ前の混雑状態を解消して、並ぶことに苦痛を感じて帰る客を防止し、機会損失防止にも役立っている。 工程管理や動作研究も勘案し、作業動線の短縮化を実現したカウンターと厨房の中で、クルーが各自の役割を認識しながら作業している。 ランチタイムなど時間に制約があるケースでは、ピーク時に一気集中する約1時間をクルーの集中投入でチャンスロスを防止し、効率的に捌きながら人時生産性を向上させているようだ。

マクドナルドの勢いを止めるバーガーチェーンは現れるか

2/5から期間限定で販売中の『N.Y. バーガーズ』

新メニューやトレンドに合わせた商品をコンスタントに販売。画像は2/5から期間限定で販売中の『N.Y. バーガーズ』

商品戦略として、①お客様のニーズに合わせた魅力度の高いメニューを全ての時間帯で販売、②マクドならではのおいしさと定番メニューの充実、③四季折々の季節感や楽しさを提供する期間限定メニューの提供、などで、売上成長と収益性向上を実現している。 調達に関しても、約3000店舗への安定供給を実現するため、世界各国と連携したグローバル・サプライチェーン・システムがあるのもマクドの強みの一つだ。 スケールメリットだけでなく、特定の地域や国での災害といった不測の事態にも、緊急調達網としても活用することで、お客さんに安定的に届ける仕組みが確立されている。 プロモーション戦略としては、店舗体験向上を通じてお客様にバリュー(価格以上の価値)を提供している。約2500万人の公式アプリ利用者など盤石な顧客基盤を有効に活用し、来店を促進。 労務政策は、「働きがいを全ての人に」をスローガンにしている。多様な人材が働きやすい職場環境、地域社員制度、ワークライフバランスを実現する勤務制度など、エンゲージメントを高めることを目的に人材投資を積極的に行っている。 女性も率先して管理職に採用し、女性店長も34.2%と高い構成比だ。社会の課題である男女共同参画社会の実現に向け企業イメージを向上させている。 各社がマクドをどういった差別化手段を講じて猛追するか、マクドを脅かし、勢いを止めるのはどの店かに注目が集まる。 また、消費者が妥協できるハンバーガーの価格は400円とされるが、その壁にどう対応し、価値ある商品の提供ができるか否かで栄枯盛衰が決まる。 ハンバーガー業界に競争と刺激を与え、より一層の品質向上と価格低下を期待したい。
飲食店支援専門の中小企業診断士・行政書士。自らも調理師免許を有し、過去には飲食店を経営。現在は中村コンサルタント事務所代表として後継者問題など、事業承継対策にも力を入れている。X(旧ツイッター):@kaisyasindan
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