日本、中国、欧米、ケイマン諸島を巡る「脱法ドラッグ」コネクション
昨年春、海外から脱法ドラッグの原料となる化学物質を輸入し、商品化して小売店に卸している国内メーカーの間に、衝撃が走った。業界関係者が言う。
「日本のほとんどの商品メーカーが供給を頼っていた『B』という業者が、突然ウェブサイトを閉鎖したんです。みんな、『これからどこで買えばいいんだ』と言って、右往左往していましたね」
この関係者によると、B社はイギリスの業者として知られていたが、実際には北米に会社の本体を置いていたようだという。
「ウェブサイトのサーバはロシアにあったと思います。代金のやり取りは、たしかケイマン諸島の決済代行会社を通して行っていた。 複数の国に拠点を散らすのは、それぞれの国の規制に差があるのを利用して、当局の監視を逃れるため。B社が店じまいせざるを得なくなったのは、欧州で売った商品を使った客のなかから、死人が何人も出てしまったから。さすがにそこまでやったら逃げ切れないけど、国際展開で摘発リスクを分散している会社は欧米にはたくさんありますよ」
こうした複数の国にまたがった取引は、脱法ドラッグのひとつの特徴と言える。脱法ハーブの元祖的存在とも言われる「スパイス」という商品の場合もそうだった。
スパイスは、大麻そっくりの使用感を売りに’04年頃に欧州で登場。わずか数年でEU加盟国のほとんどで販売が確認されたほどの人気商品だったが、どのような業者が、どのような環境で製造しているかは長らく謎のままだった。
その一端が明かされたのは、英誌フィナンシャルタイムズ・マガジンの09年2月号においてであった。同誌によれば、スパイスの発売元はロンドン近郊に登記された零細な会社だった。記者がオフィスを訪ねたところ、スパイスの詰まったダンボール箱が積み上げられており、そこには中国の青島市から英ヒースロー空港に配送された航空貨物の伝票が貼ってあったという――。
1/15発売の週刊SPA!「脱法ハーブ利権と国際ケミカルマフィア」では、いたちごっこを繰り返す日本における脱法ハーブ最新事情のみならず、こうした国境を超えた「ケミカルマフィア」の実態からカネの流れまでをリポートしている。<取材・文/SPA!脱法ドラッグ取材班>
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