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過当競争の美容院業界。増税後も「料金据え置き」は苦渋の決断

4月1日から消費税が8%に上がった。各企業が一斉に値上げを行うなか、価格を上げたくても上げられない人々が存在する。ここで値上げしないとコストが増大して経営が危うくなるが、値上げすれば消費者や取引先は離れてしまう……。まさに「進むも地獄、戻るも地獄」に追い込まれた人々の叫びを聞いた ◆競合店との過当競争で美容院は苦渋の料金据え置き
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料金据え置きも増税後の客足は鈍い

 店舗数は全国に約22万軒とコンビニの4倍以上の美容院。すでに飽和状態にあり、「近隣のライバル店はどこも値段据え置き。値上げなんてしたら客を奪われるだけ」と話すのは、千葉県内で美容院を経営する梅本宏伸さん(仮名・41歳)。 「ウチの店は1か月の売り上げが約350万円。うち10%はシャンプーやパーマ液などの材料費が占めています。でも、4月からは同じ分を仕入れても約1万円の負担増。これに毎月12万~13万円かかっている水光熱費まで増税で値上げになったのは痛いです」  しかも、そんな状況に追い打ちをかけるトラブルが発生する。 「4月に入ってすぐシャワーユニットが故障してしまい、1基買い替えるハメになったんです。価格は増税前より8000円も値上げしているし、値段据え置きの負担を改めて実感しました……」  経営者としては増税分をどこかでコストカットしなければならず、4月からは月の広告費10万円を5万円と半分に減らしたという。 「タウン誌などの広告を減らし、代わりに自作チラシをポスティングしたり、駅前で配っています。おかげで仕事量が増え、体力的にも正直しんどい。しかし、ただでさえ薄給のスタッフの給料を減らすわけにはいきませんから」 ― [消費増税の悪夢]密着ルポ【6】 ―
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