子供の「おもちゃ」にハマる“大きなお友達”の心理とは?
子どもの遊びに大人が熱中してしまう例は昔から絶えないが、最近は特にその動きが顕著だ。「子どものおもちゃ」に本気でハマる大きなお友達の心理とは
◆ゆるい趣味の世界にハマる“大きなお友達”の心理とは
子どものおもちゃにハマる大人が増加しているこれらの現象について、消費者心理に精通する四元正弘氏はこう分析する。
「年をとれば自然と“大人”になるのではなく、職場や家族、地域社会という強固な帰属社会から与えられた役割を果たすことで、後天的に大人になります。それが今は一人暮らしや独身を謳歌する方が増えたり、転職が当たり前となったり帰属意識自体が薄れていった。大人になる通過儀礼の場が少なくなったということは、同時に“大人にならない人”が増えているということ。だから子ども心を持ち続けるというか、『このおもちゃは面白い!』と思ったら、抵抗感もなく純粋にそのものにハマることができるのでしょう」
「大人になりきれない大人」というと、一見マイナスのようにも思えるが……。
「言ってしまえば大人なんて、窮屈な鎧みたいなものですよ。昔ながらの強固な絆・帰属社会から役割を与えられることで安心はできても、同時に何をするにも『大人らしく振る舞い分ければいけない』という窮屈な枠にとらわれている。これまでの強固な帰属社会で生きてきた上の世代は、『ゲームやおもちゃにハマっている大人は子どもっぽい、責任感がない』と、“ピーターパン”のレッテルを貼りたがったかもしれませんが、責任感は役割を与えられて初めて芽生えるもの。大人になりきれない大人たちも、いざ役割を与えられたらおのずと責任感を持った“大人として”行動するはずです」
そして現在は“役割を与えられる場”、帰属社会を構築しているものが、ゲームやおもちゃなどの趣味の世界だという。
「特に先進国はかつての強固な絆や帰属社会が崩れ、SNSやインターネットなど比較的ゆるい絆が占める割合が増えています。簡単に繋がれて、達成感を味わえるゲームやおもちゃなどの世界が“新たな帰属社会”と化しているのでしょう。絆が固かろうがゆるかろうが、人は誰しも認められたいもの。ゲームや趣味の世界だと、レベルアップや仲間と戦うことで認められ、責任も生まれる。現代の人々はそんな趣味の世界に、帰属意識を見いだしているのです」
強固な帰属社会が崩れつつある今だからこそ、大人になりきれない大人が子どものおもちゃにハマるのは当然なのかもしれない。
【四元正弘氏】
四元マーケティングデザイン研究室代表。日本の消費者心理、動向分析の第一人者として講演をはじめ、多方面のメディアで活躍中
取材・文/青山由佳 朝井麻由美 加藤カジカ 黒田知道
― 大人がハマる[子どものおもちゃ]偏愛図鑑【7】 ―
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