子どものおもちゃには乾電池しか使っちゃいけないは本当? 乾電池と充電式電池の違い
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クリスマスを前に「子どものプレゼントのおもちゃを確保しなくては!」と、あれこれ物色するシーズンがやってきたが、おもちゃを買う際に「一緒に乾電池は買わなくて大丈夫ですか?」と店員に話しかけられた経験はないだろうか?
「おもちゃと一緒に乾電池も買わせようって戦略だな」と思い、「おもちゃだけでいいです」と回答し、乾電池の押し売りを回避している人もいるはず。
最近は乾電池を常備するよりも、充電式電池で家庭の電池需要を賄おうとしている家庭は多いだろう。買い替えコストを考えれば、乾電池よりも充電式電池のほうがいいと考えるのは当然のことだ。
「『おもちゃには乾電池しか使えない』となるのは、おもちゃに限らず、電池を利用する機器側のルールに関係しています。簡単に言うと、電池で動くものは1.5Vの電圧で使うように作られています。そのため1.5Vの電圧で作られている乾電池が推奨されているのです」とは、パナソニックの杉山健人さんだ。
ということは、充電式電池の電圧は乾電池と違うということになる。
「充電式乾電池は1.2Vの電圧で作られています。こうした違いは、乾電池と充電式電池に使われている材料の種類による違いなどが関係しています」とは、同じくパナソニックの李佳霓さん。李さんは乾電池と充電式電池では出力特性が異なるという。
「例えば、アルカリ乾電池とニッケル水素電池(充電式電池)を比べてみると、下の放電イメージ図のような電圧の変化が見られます」(李さん)
「初期では乾電池のほうが高い電圧なのですが、使用すればするほど電圧が低下する乾電池の特性に対して、充電式電池は使用しても電圧の変化が少なく、途中から乾電池よりも高い電圧で推移する特性を持っています。そのため、1.5V~0.9V程度まで動作する乾電池の機器には、1.2~1.0Vで推移するニッケル水素電池は一般的には利用できます」
ということは、乾電池推奨のおもちゃに充電式電池を使ってもいいということになるのだろうか?
「これはあくまでも電池メーカー側の考え方で、最終的にそのおもちゃに使えるかどうかは、電圧以外の機器の安全設計の要素も入るのでおもちゃの取扱説明書をきちんと読んでいただき、電池に関する記載があればそれに従って利用していただくのが確実です。というのも最近のおもちゃのなかには、外箱や取扱説明書に推奨している電池の種類を記載しているケースがあるからです」(杉山さん)
確かに、取扱説明書を読んでみると電池について記載しているものもある。
「もう1つ大事なのは、取扱説明書を読んだうえで乾電池も充電式電池も両方使えるような場合は、そのおもちゃをどの程度の頻度で遊ぶのかも考慮すること。日に何度も遊ぶおもちゃと月に数回程度の遊ぶおもちゃでは、簡単に言えば電池の消耗度合が異なります。遊びたいときに、すぐ使えるようにしておくという意味では、よく使うおもちゃは充電式電池で、あまり遊ばないおもちゃは乾電池でという使い分けも大事です」(李さん)
どの程度、電池を消費するかは、おもちゃの種類にもよるだろう。おもちゃと使用頻度に合わせて電池を選ぶということが大事なのだ。
「特におもちゃで気をつけなければいけないのは、入れっぱなしにして忘れてしまうこと。最初はよく遊んでいたおもちゃも、お子さんの成長に合わせて出番が減っていくでしょう。おもちゃに限った話ではありませんが、乾電池も充電式電池も、長い間利用しないときは機器から電池を取り外していただくことを推奨しています」(杉山さん)
結局、電池はどうやって選べばいいのだろうか?
「同じ充電式電池でも、弊社のエネループは繰り返し回数が長もちしますし、充電式エボルタは1回の使用時間が長もちするという特性があります。一方、『世界一長もちする単3形アルカリ乾電池(※1)』としてギネス世界記録に認定された乾電池のエボルタNEOは、長もちなのはもちろん、長期保存や液もれ防止(※2)の性能を従来品よりもアップさせ、さまざまな機器で利用できるようになっています。そのうえで、まずは利用する機器の取扱説明書を読んでいただくこと。そして、その機器を自分がどの程度利用するかを考えて、それにあった電池を選んでいただければと思います」(杉山さん)
「弊社としても、電池を利用する機器メーカー様と一緒にコラボさせていただく機会を増やして、機器や遊び方に適した電池を啓蒙していきたいと思います」(李さん)
ユーザーが充電できないことを除けば、乾電池のほうが無難な選択であることは間違いない。家電量販店の店員は、こうしたことを知っていて売り場で乾電池を薦めているのかもしれない。
だからといって、取扱説明書を読まずに乾電池にすればいいというわけでもないだろう。機器に合っているものを選ぶ、利用頻度に照らし合わせて選ぶ。おもちゃに限らず「乾電池か? 充電式電池か?」という電池の選択に迷った際は、この2つを心がけてみてはどうだろうか? <取材・文・撮影/日刊SPA!取材班>
(※1)世界一長もちする単3形アルカリ乾電池として。ギネス世界記録™に2017年10月2日認定。2018年10月26日再認定。IEC基準における全放電モードの平均値より。250mA 1日1時間放電 終止電圧0.9Vなど(温度:20±2℃、相対湿度:(55+20,55-40)%)
(※2)乾電池を誤使用された場合や保存環境によっては液漏れする場合があります。
パナソニック電池/充電器総合
提供/パナソニック
そんななか、子どもの「おもちゃの電池は乾電池を推奨」という話を聞いたことはないだろうか? 実際に記者の家庭でも妻の「おもちゃって乾電池がいいみたいなんだけど……」というひと言で調べてみたことがあるのだが、タカラトミーのHPにはこんな記述が掲載されているのだ(以下、原文ママ)。
Q.充電池は使えないのか?
A.ご使用いただけません。充電式電池は電気を蓄える容量が大きい為、お子様が遊ぶおもちゃで何か不具合があった場合に電気が流れ続けることになって、充電式電池の破裂や発火・発熱などを起こしてしまうことがあります。おもちゃには乾電池をご使用頂きますようお願いします。また、乾電池の特性に合わせて設計されている商品は、充電式電池では適切に動作しないことがあります。(異常動作、発熱、動作しないなど)
つまり、タカラトミーとしては、おもちゃには乾電池の使用を推奨しているのだ。
そもそも、乾電池と充電式電池は何が違うのか? 両方を作っているパナソニックに聞いてみた。
1.5Vの電圧で動作するように作られる電池を利用する機器
電池も利用シーンに合わせた適材適所が大事!
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