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ヤラセとパクリだらけの中国「リアリティ番組」事情

視聴者2億人! スポンサー料50億円も!ヤラセとパクリだらけのリアリティ番組事情

2億人の視聴者がいるというオバケ番組『あなたは正常?』のワンシーン

 日本では『テラスハウス』(CX系)が9月で終了となったが、中国でも今、リアリティ番組が花盛りだ。なかでも人気を博しているのが『パパ、どこへ行くの?』(湖南衛視)。俳優など有名人とその子供たちが、田舎を旅するというもので、視聴率1%を超えれば大ヒットと言われる中国で、2.39%という視聴率を叩き出している。  また、著名人の一般常識とのズレをテーマにしたネット番組『あなたは正常?』は、毎回、約2億人が視聴。人気に伴いスポンサー料も高額化。6月、乳製品メーカー大手の「伊利」が、同番組の3か月半の放送期間に対し、50億円の独占スポンサー料を支払った。  潤沢な広告収入のおかげで、番組内容も豪華そのもの。例えば浙江省のテレビ局によるスター発掘番組『中国夢想秀』にはジョニー・デップが出演し、最終審査員を務めた。さらに天津市のテレビ局が放送中の、サッカー選手発掘番組『足球夢』では、インテル・ミラノとタイアップしている。  しかし、やはりというべきか、ヤラセ疑惑もある。広州市の日系メーカー勤務・安岡栄太郎さん(仮名・36歳)は話す。 「『資本相親会』という『マネーの虎』そっくりのリアリティ番組では、ホームレスから身を起こしたという出資者がいて、日本のをパクったような設定です。さておき、自動開閉の靴箱とか、温度調節機能付き革靴といった微妙なアイデアに出資者が数千万円規模のお金をバンバン出すのはありえない。ヤラセくさいですね」  一方、杭州市在住の留学生・足立美香子さん(仮名・25歳)は番組の茶番ぶりを指摘。 「『赤ちゃん、こんにちは』というカップルの妊娠から出産までを追う番組があるんですが、この前は、弟が白血病だと発覚した妊婦が、弟の介護に専念するため、夫に内緒で人工中絶手術を受けるという内容だった。妊婦が病院へ向かうと、そこに夫が駆けつけ、『産んでくれ』と懇願、最後は熱いキスを交わし大団円という内容。夫にも秘密だった中絶計画をなんで撮影クルーが知ってるんだよ……。あまりに安っぽい展開なので、ついつい見てしまいます(笑)」  存在しないはずのシナリオがネット上に流出した例もある。広東省東莞市のメーカー勤務・高島功夫さん(仮名・39歳)の話。 「『中国好声音』では、存在しないはずの“シナリオ”がネット上に流出しました。真偽は不明ですが、他局の人間が、人気に傷をつけるために流出させたという噂です。リアリティショーはテレビ局にとってのドル箱であるだけに、この国ではさもありなんです」  数々の疑惑を抱えながら、人気が衰えない中国のリアリティ番組について、「トラブル孫悟空」でお馴染みのジャーナリスト・周来友氏はこう解説する。 「リアリティ番組が人気を集めるのは、従来のドラマやバラエティのマンネリ化が深刻で、視聴者から飽きられていたから。中国のテレビ局はお金はあるけど企画力や脚本力がない。だから海外からパクったフォーマットに、素人に筋書きのない人間模様を見せればいいだけのこの手の番組は、各局にとって濡れ手で粟なんです」  いっそのこと、番組の最後に「この番組はフィクションです」と断りをつけてはどうだろうか……。 <取材・文/奥窪優木> 週刊SPA!連載 【中華人民毒報】 行くのはコワいけど覗き見したい――驚愕情報を現地から即出し1980年、愛媛県生まれ。上智大学経済学部卒。ニューヨーク市立大学中退後、中国に渡り、医療や知的財産権関連の社会問題を中心に現地取材を行う。2008年に帰国後は、週刊誌や月刊誌などに寄稿しながら、「国家の政策や国際的事象が末端の生活者やアングラ社会に与える影響」をテーマに地道な取材活動を行っている。2016年に他に先駆けて『週刊SPA!』誌上で問題提起した「外国人による公的医療保険の悪用問題」は国会でも議論の対象となり、健康保険法等の改正につながった。著書に『中国「猛毒食品」に殺される』(扶桑社刊)など。最新刊『ルポ 新型コロナ詐欺 ~経済対策200兆円に巣食う正体~』(扶桑社刊)発売

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