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トルコ大地震の地に存在する怪獣伝説とは?

トルコ大地震

今回、被害が大きかったワンの地震前の風景

 10月23日、トルコ東部ワン周辺でマグニチュード7.2の大地震が発生した。10月26日の段階で423人の死亡が確認され、負傷者1300人超、行方不明者数百人という大災害となり、倒壊した建物も2200棟を越えると言われている。

 ワンという町は、なかなか日本人には馴染みがない地名だろうが、イラン国境に近く、面積3755平方キロメートルとトルコ最大の面積を誇るワン湖の東岸に位置している。

 昨年、記者は辺境作家の高野秀行氏に同行しワンを訪れたのだが、ワン周辺を車で走っているときに、山の中に溶岩地帯があった。今考えれば、火山があるということは地震も活発ということなのだろうが、そのときは「火山があるなら温泉もあるんじゃないか」という話になり、高野氏がガイドをしてくれていたエンギン氏というクルド人男性に尋ねたところ、次のような言葉が返ってきた。

「温泉はあるよ。でも、ほとんど人は来ない。この溶岩地帯でゲリラと政府が戦闘することがあるからね」
 
 今回の震災に際しても、トルコ政府に対して各国が支援を申し出たが、政府は当初、受け入れに消極的で、背景にはクルド人問題があったと推測されている(現在は一転して外国の支援を受け入れると発表した)。自治拡大を目指す「クルド労働者党」は武力闘争を繰り広げ、この約30年の間に数万人の犠牲者を出しており、10月18~19日にもトルコ兵24人が死亡する戦闘があったという。

ワン湖

ジャナワールという未知動物が棲むという伝説があるワン湖

 そんな危険なイメージのある地域ではあるが、実際に訪れると非常に風光明媚で、人々も穏やかだ。さらに興味深いことに、このワン湖にはジャナワールという未知の巨大生物が生息しているという伝説がある。1997年にはこの生物がビデオ撮影され、CNNなどで放送され話題になった。

 UMAなどの未知動物の探索でも知られる高野氏は、2006年の夏に2週間にわたり、ワン湖周辺でジャナワールに関する調査を行った。その模様は高野氏の著書『怪獣記』(講談社文庫)に詳しいが、果たしてジャナワールとはどのような「怪獣」なのか? 高野氏の著書を引用しつつ、紹介しよう。

「体長10メートル以上の巨大水棲生物。水を上に噴き上げることが特徴」とされているが、トルコで発刊された研究本では、巨大なウミヘビに手足がついたような姿が描かれていたり、高野氏が実際に取材をした目撃者によれば、「西洋のドラゴンのような姿をしていた」と、姿がはっきりしない。

 そもそも、実際に高野氏が現地で調査を開始してみると、ガイドから町の人々まで、「あれはウソだ。存在するわけがない」と口を揃える。わざわざ日本から、そんなもののための調査に来たのか、と笑われることも多数。高野氏もCNNで放送されたビデオの撮影者を追っていくうちに、ビデオの信頼度はかなり低く、「あのビデオはクルド人問題から世間の目をそらすためのプロパガンダ」という地元民の主張に納得するようになっていく……。

 だが、その後、ジャナワールの存在を否定しきれない“湖に浮かぶ謎の黒い物体”を目撃してしまうのだが、詳しくはぜひ『怪獣記』を読んでいただきたい。

 さて、冒頭に紹介したガイドのエンギン氏は、昨年「ジャナワール・フェスティバルを開催してワンの町興しをするんだ」と熱っぽく語っていた。高野氏によると、現在はメールを送っても返信がないとのことだが、数年後にはワンの町が復興し、エンギン氏が“怪獣祭り”を大々的に取り仕切っている姿を見れることを祈るばかりである。

文/織田曜一郎(本誌)

怪獣記(講談社文庫)

果たしてそれは本物かフェイクか




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