更新日:2015年10月21日 08:26
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日本で「ケバブ屋台」が急増している理由

 最近、夏フェスや路上でケバブ屋台を目にすることが多くなった。マクドナルドや吉野家、中華料理店はなじみのある風景だが、とりわけ秋葉原や六本木、名古屋の大須といった地域でケバブ店が急増している。その背景にあるものとは?
ケバブ

第1回の「ケバブグランプリ」で1位に輝いたスターケバブ秋葉原本店(撮影/北村篤裕)

◆「フランチャイズ」進むケバブ屋台の今  ひとくちに「ケバブ」と言っても、串焼きにしたものなど種類はさまざまだ。トルコ料理であるケバブの日本での主流は、大きな牛肉や鶏肉の塊を回転させながら焼き、その肉をナイフで薄くそぎ落としてパンにはさむ「ドネルケバブ」と呼ばれるもの。生地や肉・野菜などの食材、ソースよって店の個性が出る。
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2位に輝いた「カフカス ケバブ」は上野アメ横に店を構える

 ピタパンと呼ばれる円形のパンにはさんで食べるスタイルは手頃で、日本の音楽フェスや路上の屋台などで重宝され人気も高い。肉と野菜が豊富なことから栄養バランスも優れている料理とされ、今やケバブの人気は鹿児島などの地方都市にも広がりつつあるようだ。  さらに日本でのケバブ人気にあやかって、昨年からは日本一のケバブ屋台を決める「ケバブグランプリ(通称:KEBA-1)」が開催されるほどに。今回で2回目となる「ケバブグランプリ」は、昨年の13店舗を上回る有名ケバブ店が参加する予定で、11月に東京の大久保公園でトルコの祭典と同時開催される。  日本でのケバブ店急増の背景は?「トルコからの移住者が増えているから、というわけではありません」と運営スタッフは話し、理由についてこう続ける。 「ケバブは秋葉原や名古屋では専門店が多く、今ではファストフード感覚で若者に人気です。ケバブ屋台が急増している背景には『フランチャイズ』によるチェーン展開が進んでいることが大きいですね。決してトルコ出身の店員が大半を占めるわけではなく、インドなど様々な国の人がケバブ出店に挑戦しています。国内で成功した店のノウハウが受け継がれ、店舗が急増しているのです」(同) ◆「フランチャイズ」の成功で出店が容易に  名古屋を中心に展開する「メガケバブ」では、フランチャイズ契約をすれば、店舗の設計から調理器具の調達、そして材料の仕込みまで経営のノウハウや調理方法を研修で教える。また、加盟者(フランチャイジー)の希望に合わせてショップ、スタンド、カバブカー、イベントブースなどの店舗形態も選べるという。  昨年のケバブグランプリで1位となった秋葉原の「スターケバブ」を訪れると、外国人客が毎日のように買いに来るほか、ケバブを知らない年配客も味見をしに買っていくなど徐々に客層は広がりつつあるという。トルコ・デニズリ出身の店員に話を聞くと「休みの日はかなり忙しいかな。いつもは観光客とか、仕事帰りのサラリーマンもいっぱい来てくれるよ」と笑顔で答えてくれた。  夏フェスでもケバブは大人気だ。フジロック、サマソニ、ロッキンといった代表的な夏フェスでは定番となり、今年のサマソニ東京(※開催は千葉県)では5店舗のケバブ屋台が出店した。今年9月に開催された「東京ゲームショウ2015」のフードコートでもケバブは人気があり、2つのケバブ店は昼前から行列ができるほどだったという。また、昨今のケバブ流行の波は日本だけにとどまらず、イタリアのフィレンツェなど海外でもケバブ店が増えているようだ。  日本全国にあるコンビニやファミレス、ミスタードーナツなど多くのチェーン店は「フランチャイズ」の成功で世間に浸透していった。日本の文化のひとつとしてケバブ屋台の風景が当たり前になる日は、そう遠くないのかもしれない。 ⇒【写真】はコチラ https://nikkan-spa.jp/?attachment_id=958913 <取材・文・撮影/北村篤裕 写真提供/日建リース工業(株)>
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