更新日:2023年03月05日 21:24
エンタメ

“トルコの東大”卒のトルコ出身お笑い芸人「憧れの存在はバカリズム」

 2023年2月6日にトルコとシリアの国境部分でM7.8の大地震が発生した。この地震による死者者の数は執筆時(2023年2月現在)で約5万人と言われ、今も多数の行方不明者がいる。トルコには世界各国からの支援や救助が寄せられているが、この未曽有の災害を受けて、ツイッターで母国への批判と寄附の呼びかけを行ったのは、トルコ出身のお笑い芸人・デミルさん(30歳・@demirhanjp)だ。
デミル

トルコ出身のお笑い芸人・デミルさん(不死身のレモン水)

 身長188センチで、トルコの東大と言われる「ボアズィチ大学」を卒業した彼は、来日して、2022年7月にお笑いコンビ「不死身のレモン水」を結成。現在はお笑いライブの企画などを行う芸能事務所K-PROに所属している。  インタビュー前編では、トルコ国民としての今の心境と、地震後にツイートした<トルコは汚職建築者がうじゃうじゃ湧いてくる、築1年の建物も粉々になる国なので俺は驚いていない。我が国は姉歯大国>の真意、さらにはなぜ日本で芸人として活動をしているのかなど話を聞いたが、後編では日本とトルコの文化の違いや、謎のコンビ名「不死身のレモン水」の由来などを聞いた。 【前編】⇒<“大地震で死者5万人超”。トルコ出身芸人が語る「我が国は姉歯大国」

芸人という仕事が仕事として成立している日本

――そもそも芸人がここまでテレビに出ている国も珍しいかもしれませんね。 デミル:芸人という仕事が仕事として成立しているのは、日本が舞台芸や芸事にすごく価値を見出している証拠です。「M-1グランプリ」のようにほぼ全国民が毎年、お笑いの大会を見るというのもトルコでは信じられないです。僕が日本に来るきっかけとなった『ゴッドタン』のような過激さがテレビで見られるのも思ってもみなかったことです。少し前にトルコに帰省したら、どのテレビもつまらなく感じましたし、日本はなんて自由な国なんだと。日本の芸能界のほうが全然輝かしいと思いますし、表現の自由って最高だと感じました。

フリーライブで出会った相方とコンビ結成

デミル――今はコンビとして活動をしていますね。 デミル:フリーライブからイチから頑張って、いろいろな人とコンビを組んで、解散を繰り返した結果、今の相方の「おんぷくん」と出会いました。温厚な人がいいなと思って組みました。K-PROのフリーライブで出会ったんですが、もともとお互いに別のコンビをやっていて、お互いに解散して、彼がYouTubeでフリー芸人にインタビューする企画をやっていて、そこで仲良くなって、誘ってくれたんです。 ――結成に至るまでは苦労も多かったですか? デミル:どんな人と結成したにしても「絶対にトルコ人が出てくるコントや漫才のネタを100本くらい書けるか」っていう課題にぶち当たりますし、扱いにくいですよね。最初は他の人と組んだら迷惑かけてしまうからピン芸人としてやっていこうと決めたんです。でも1人だとお客さんとの距離が遠すぎて、空回りする僕のことを翻訳してくれる日本人の存在が必要だなと思い、相方を探しました。
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とある企業の社内資料を日英翻訳する仕事
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平成生まれのライター、編集者。ファミマ、ワークマンマニア。「日刊SPA!」「bizSPA!フレッシュ」などの媒体で執筆しています

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