コスパ最強決定戦 ちょい呑みチェーン VS せんべろ居酒屋・三番勝負
厳しい個人の懐事情と節約志向で、居酒屋チェーンなどの売り上げが伸び悩むのを尻目に、昨今、好調なのがファミレスや牛丼チェーン店などの「ちょい呑み」サービスだ。
本来は食事中心の外食店が、リーズナブルな価格帯でアルコールメニューを強化し、売り上げを伸ばすケースが増えている。一方で飲兵衛たちが長年愛用してきたのが、圧倒的な安さでお酒を提供する格安居酒屋――いわゆる、“せんべろ”だ。
安さも質も、というワガママな取材班は、今回、ちょい呑みサービスを提供している外食チェーンと、老舗せんべろ居酒屋それぞれから代表店を3店ずつ取り上げ、味・値段・店内の雰囲気など総合的に比較。せんべろと外食チェーン。果たして“アルコールパフォーマンス最強”の軍配はどちらに上がるのか。
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ほぼ全てのメニューが100円であることから、その店名が付く『百飲』。ビールとウイスキーダブルのみ200円、一部おつまみは150円だが、その圧倒的な安さが最高の魅力だ。平日でも早い時間からお客さんで賑わう。
しかし、安さの犠牲に比較的広々とした店内はオールスタンディング。回転率は早い。灰皿も一応は用意されているが、“においの強いタバコはご遠慮ください”の注意書きがあり、喫煙者には少々肩身が狭い。客席に比べ調味料の数と配置も行き届いているとは言い難い。せめて近くにナプキンくらいは欲しいところ。お酒もやや薄めか。
一方、ちょい呑みサービスを定着させた『吉野家』。 “吉呑み”店舗では、ワンフロアテーブル席という作りで、多くが個室の喫煙スペースが設けおり、居心地の良さから長居するお客さんもチラホラ。
牛皿から揚げ物までオール100円とはいかないものの、品質面でちょい呑み最大手の貫禄を見せつけられた。物珍しさ抜きで日常的に活用するに耐えるだろう。
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板橋駅徒歩7分『SHOWA』は安くて美味い。
システムは10枚綴りの券を入店時に一人1100円で購入し、食べ物もお酒も一品一枚の券で交換するというもの(ジョッキビールのみ2枚)。なべ、ピザ、刺身などなど他のせんべろに比べると、料理一品一品が圧倒的に丹精に、丁寧に調理されている。基本立ち飲みだが壁沿いには座席もあり常連客の雰囲気も良い。
余った券は次の来店時に持ち越すことも可能だが、再入店時に必ず一人1100円で綴りを購入するのが鉄則で、どんどん券が溜まってしまい結果として割高になることも。店内は寒暖の影響を受けやすく、アルコールもやや薄め。日曜・祝日が休みなのもネックだ。
『日高屋』では大振りな味付けの料理に比較的濃い目の酒がグイグイ進む。これという大きな欠点もないが、何より重要なアルコールの価格で小さな減点を確実に重ねたのが敗因で、一人頭2000円近くなることもしばしば。6店舗中唯一、ハイボールにレモンが入っていたのには少し感動したが、相対的に見ればささやかすぎる評価ポイントと言わざるを得ない。
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いくら飲んでも不思議と酔い潰れないのが居酒屋&蕎麦『大都会』の酒だ。飲み干したグラスの数に下戸でも高い満足度を得られるが、なんだか騙されているような気もする。ビールにキレはなく、食券に席番を書かないと怒られたり、大人数で押しかけると素気無く追い返されたり、安さと立地(北池袋)ゆえか一歩間違えれば警察沙汰という客側のエピソードも多い。
悪口みたいだが、それも昔から多くの人に愛されているからこそ。せんべろの代表格的存在で、最近ではタッチパネル式の食券機も導入。アンケートハガキもあったり、企業努力も見受けられる。6店舗の中で一番長居しやすく、365日24時間営業という点も特筆に値するだろう。
一方の『富士そば』は“富士酒場”なるちょい呑みサービスを9月から始動させた。お店によって味付けやメニューが異なる『富士そば』だが、それは“富士酒場”でも同様。店舗によって多少異なるようだが、蕎麦のトッピング用の天ぷらや、『ちょい呑みセット』が存在する。
同じ蕎麦屋というだけで安易に比べてみたが、方向性が全く異なり甲乙つけがたい。今回はこれからの『大都会』にさらなる期待を込める意味でも、『富士そば』の勝利とした。富士酒場は酒も濃いめで、ビールなんてキレキレ。蕎麦屋らしく肴もシンプルで味付けも程よい。両者の代表メニューの蕎麦ひとつとっても『富士そば』に軍配をあげる人がやはり多いだろうと思う。
全体的に振り返ってみると、安さと量、メニューの豊富さという面では、やはりせんべろが圧倒的だったように思うが、限られたメニューで比較してみたので、ちょい呑みサービスに少し有利な結果だったかもしれない。三杯以上飲むなら、まずはせんべろがオススメだろう。
しかし、お酒自体の質、味の安定感、店内環境という点でチェーン店のパフォーマンスは想像以上。つい杯を重ねてしまうのも十分に納得がいく結果だった。 <取材・文/日刊SPA!取材班>
秋葉原『百飲』(60点)VS 吉野家『吉呑み』(70点)
板橋『SHOWA』(90点)VS 日高屋(80点)
池袋『大都会』(70点)VS 名代 富士そば『富士酒場』(75点)
三杯以上飲むならせんべろに軍配か?
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