更新日:2021年09月08日 14:27
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「規制改革」を敵視する利権屋が「保守」を語り、ネトウヨ言論人として怪しげな言論を蔓延らせる/倉山満

右下のネトウヨも左下のパヨクも、同じ穴のムジナだ。学力の低さにおいて

言論ストロングスタイル

9月16日、内閣総理大臣任命式を終えた菅義偉首相は、同日の記者会見で「縦割りと既得権益とあしき前例を打破して、規制改革を進めていく」と述べた 写真/時事通信社

 昨年10月末の原稿を再掲する。 =====  究極の選択である。「安倍晋三、菅義偉、山本太郎、この3人の中で首相にふさわしいのは誰か?」と聞かれたら、今の私は迷うことなく「山本太郎」と答える。安倍・菅両氏は官僚の言いなりだが、山本氏は「それではダメだ」との意思はある。官僚の言いなりならば、日本はいつまでたってもダメな国だ。  かつて「安倍救国内閣」に身命を賭した私に、ここまで言わせるのは誰か? =====  この文章を誤読した御仁が、左右関係なく大量発生した。この部分、かなり丁寧に前提条件を解説していて、ネット記事では「馬淵澄夫の動きに注目」と見出しまでつけているのに。苦笑いするしかない。  引用部だけでも、「究極の選択である」「この3人の中で」「今の」と限定的条件を付けているのが、そこは読まなかったらしい。あげくに、「誤解させた貴様が悪い」と言われるのだが、誤解した方が悪いに決まっている。  ネトウヨは「我らが安倍様より山本太郎を持ち上げるとは非国民か」と非難轟々だったし、パヨクは「あの倉山満が我らの山本太郎を褒めたたえてくれた」と狂喜乱舞していた。  ネトウヨどもの学力の低さは百も承知だったが、パヨク側で一人くらい「安倍や菅への批判に太郎を持ち出すな」という人間がいるかと思いきや、皆無だった。しょせん、右下のネトウヨも左下のパヨクも、同じ穴のムジナだ。学力の低さにおいて。

菅義偉氏ほど運命が転変した人も珍しい

 では、当時の意見を今はどうなのだと聞かれたら、違うと答えるに決まっている。条件が変わっているのだから。前回は政権発足直後であり、「期待を込めて見守る」と書いた。世の中には「見守る=支持する=永遠に帰依する」と勘違いしている人もいるので、これまた誤読されないかそこはかとなく不安だが……。  そもそも昨年の秋から、菅義偉氏ほど運命が転変した人も珍しかろう。それまでは「令和おじさん」として次期首相間違いなしと目されていたが、安倍首相との関係が急速に悪化し、「座敷牢」に封じ込められるが如き環境だった。ところが今年の夏に安倍後継で突如として急浮上した。  政界の一寸先は闇と言うが、菅首相ほど身に染みている人も居るまい。今は支持率が高いが、わからない。  右か左かの結論だけで判断するのではなく、中身をきちんと読む目の肥えた読者が増えて欲しいと心から思う。  世の中が不安定な時は、怪しげな言論が蔓延る。たとえば「規制緩和を進める菅は、親中派で新自由主義者だ」とのネトウヨ言論人が流している風説だ。  少し菅氏の経歴を調べれば、むしろ親米派としか思えないのだが、ネトウヨ言論人によると二階幹事長と盟友関係にあるので親中派らしい。  ところがそのネトウヨ言論人が昨日までは安倍首相絶対支持だったりする。ならば二階幹事長を重用した安倍首相こそ親中派になるのだが、そういう理屈はネトウヨには通じない。どうして通じないかは、近著『保守とネトウヨの近現代史』をご覧あれ。
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そもそも、規制とは何か
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1973年、香川県生まれ。救国シンクタンク理事長兼所長。中央大学文学部史学科を卒業後、同大学院博士前期課程修了。在学中から’15年まで、国士舘大学日本政教研究所非常勤職員を務める。現在は、「倉山塾」塾長、ネット放送局「チャンネルくらら」などを主宰。著書に『13歳からの「くにまもり」』など多数。ベストセラー「嘘だらけシリーズ」の最新作『嘘だらけの日本古代史』(扶桑社新書)が発売中

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