ライフ

「自己破産して家も引き払いました」カラオケや居酒屋で夜を越す40歳男性、生活保護を受けられなかったわけ

 コロナ明けを襲った令和インフレで深刻化する貧困問題。仕事を失って衣食住もままならないなか、最後の砦ともいえる“住まい”を失った中年男たちの実態とは?他人事ではない家なき中年の壮絶な生活に迫った。令和インフレで家を失った人たちの壮絶生活とは——。

物価高で自己破産

[家なき中年]の肖像

大谷忠さん(仮名・40歳)

 元飲食店従業員の大谷忠さん(仮名・40歳)も、家を失った中年のひとり。失職時に生活保護の申請に行くも、生活困窮者自立支援の窓口に回され保護を受けられず繁華街難民になったという。 「職場はイベント会場を兼ねたバーだったのですが、酒代などの原価率が上がったことで昨年5月にバー営業は中止。僕は正社員でしたがバーテンダーとして雇われていたので、店に居づらくなり昨年10月に自主退職しました」  大谷さんは2年前からカードの支払いに追われており、家計は火の車だった。

深夜営業の店が寝床に

[家なき中年]の肖像

パックご飯と温泉卵

 今やパックご飯と温泉卵、飲み物を購入するだけで500円近くかかる世の中。 「物価高が地味に効いてきたのでしょうね。年収300万円で生活スタイルは変わらないのに、カードの支払額が収入を上回るようになり、複数のカード会社から借り入れをするようになりました。収入が途絶えた時点で、貯蓄ゼロどころかマイナスです。結局自己破産して、家賃6万円の部屋も引き払いました」  現在は繁華街のカラオケ店や居酒屋で夜を越す。 「コロナが明けて、深夜営業の店が増えたのは不幸中の幸い。ウーバーイーツで小銭を稼ぐとき以外はこの繁華街から出ることはありません」  1年前から適応障害を患っていた大谷さん。自力で生活を立て直すのは難しい状態だ。
次のページ
上野公園で暮らして数十年の高齢ホームレス
1
2
おすすめ記事