「皇居ランナーの大半は年収700万円」は本当か?
’07年に東京マラソンが始まって以降、ようやく落ち着いた感のあるランニングブーム。だが、ここにきて新たな面で注目を集めている。今年3月に発売された『なぜ皇居ランナーの大半は年収700万以上なのか』(山口拓朗/メディアファクトリー新書)によると、ランニングはなんとビジネスにも有効らしいのだ。
ランニングを習慣的にこなすことで、「主体性」「自己マネジメント能力」「人間関係を良好にする力」などのビジネススキルが身につき、年収アップにつながる。また、雑誌「ランナーズ」が’10年に行ったアンケート調査には、皇居を走る男性の54%が「年収700万円以上」という結果が出ている。
54%が”大半”にあたるのかどうかはさておき、「皇居ランナーの大半が年収700万円」はここからきているようだ。ランニングにそんな効果があるのか? そして皇居ランナーは本当に高収入なのか? SPA!記者が皇居ランナーに直撃取材を試みた。
皇居にて。「すみません、年収を教えていただきたいのですが」「……(無視)」。「すみません、年収を教えて……」「……」。いくらランナーに話しかけても相手にしてもらえず、途方に暮れていたところ。親切なランナー(30代・男性)が立ち止まってくれた。
「あの、週刊SPA!という雑誌なんですが。『なぜ皇居ランナーの大半は年収700万以上なのか』という本が出ていて、皇居ランナーの年収を聞いているのですが……」。すると、ありがたいことに、「えー年収ですか……700万円には全然届かないですよ」と苦笑しつつ教えてくれた。
その後、「桜田門前の広場で休憩しているランナーにお願いしたほうが楽」ということに気付いた記者は、立ち止まっているランナーに目標を切りかえ、計50人の皇居ランナーから話を聞くことに成功。
その結果、なんと50人中15人が「年収700万円以上」。さらに、そのうち5人は「年収1000万円以上」と回答したのだ。”大半”にはほど遠いが、やはり皇居ランナーは高年収が多いといえるだろう。では、「なぜ皇居ランナーは年収が高いのか」。その理由を「年収700万円以上」のランナー自身に尋ねてみた。
最も多かったのは「皇居周辺は大企業や公官庁があるから」だった。実際、丸の内のオフィスや霞が関の省庁で働いている人に会うこともできた。また、「年収1000万円以上」という男性は以下のような持論を展開してくれた。
「ほぼ毎週、浜松から皇居に走りにきています。皇居はわざわざ遠くからでも通いたくなる、走りやすさ日本一のコース。必然的に、時間やお金に余裕のある人が遠方から集まるのではないでしょうか」(50代・男性)
もはや皇居には丸の内や霞が関の人たちだけでなく、関東一帯の「年収1000万円以上」ランナーが走りに来ているというのだ。
たしかに皇居ランナーの年収は高いが、それはあくまで(丸の内、霞が関だけでなく)関東近郊含めた多くのランナーが皇居に集まっているだけ。年収アップの手段として、皇居ランを考えている人はその点にだけご留意いただきたい。 <文/日刊SPA!取材班>
『なぜ皇居ランナーの大半は年収700万以上なのか』 なぜランニングが現代人の福音になるかを総合的に解き明かす初の一冊 |
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