中国大連で日本人が主催した「アニメDJイベント」が地元の若いヲタに大好評
とかく「反日」がとりざたされがちな中国だが、日本のアニメを筆頭とする文化に親しみを感じる人は決して少なくない。
中でも、いわゆる反日デモがほとんど起きず、等身大の日本を知る人が多いという大連で、なんと日本人が主催するコスプレイベントが9月13日に開催された。
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その名も「Moe Moe Party!@大連」。
会場は、大連市西部の日系や外資系が集まるソフトウェアパークに隣接する閑静な住宅街にある「BOX BAR」。スタートは午後1時とこの日は土曜日とはいえ早過ぎるだろうと思ったが会場へ着くとすでに外までコスプレイヤーがあふれていた。
数人に話を聞いて開催時間が早い理由がわかった。女のコが8割くらいでその多くが高校生や大学生なのだ。中にはなんと中学生のコもいる。
バーの2階にはプロのメイクアップアーティストも待機する控室で本格的なメイクで非日常的な変身を味わうことができるというわけだ。
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スタート時ですでに100人を超えるコスプレーヤーが集まっており、1、2階合わせても20人も入るといっぱいになる店内には入りきれず、店外で決めポーズでお互いに写真を撮るなどコスプレーヤー同士で交流を深めていた。大連は中高生が参加できるイベントや娯楽が少ないので嬉しそうだ。
このバーは日本だとちょっと高級な公団住宅のようなマンション郡の1、2階にあり、周辺を通る居住老人たちのまるで異星人でも眺めるような視線が彼女たちへ突き刺さるも気にする様子もなく楽しんでいる。文化大革命を生き抜いてきた老人たちには完全に理解不能な光景だろう。
2階にいたコスプレネーム”宇智波侑子”さんに話を聞いてみた、「今回のコスプレは、ローゼンメイデンの水銀燈です。 今年、高校1年生で、う~ん、コスプレ歴は3年くらいですね」。
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中国の新学期は9月1日なので、高校へ進学したばかりという宇智波侑子さん。中学生の時から始めたコスプレのきっかけは、『NARUTO』や『東京喰種トーキョーグール』が大好きで、日本の漫画やアニメを通して日本語にも興味を持ちコスプレを知ったことがきっかけだとか。今回の衣装は、中国最大のオンラインショップ「淘宝網」などで購入。バッチリ決まった大人びたメイクからは想像できないくらい丁寧で礼儀正しい。きっといい家庭のコなんだと思わしてくれる。
ちなみに記者は、聞いた漫画やアニメを日本語で調べても半分もわからず、ジェネレーションギャップ以前に日本人として痛たたた……。
そもそも、このイベントは、「アニソン&VOCALOID DJ、コスプレなど、アニメを愛する仲間たちによる、音楽とコスプレをで盛り上がるイベント」という趣旨で、今回は7月に次ぐ2回目。2部構成で、プレゼント企画などと盛りだくさん。会場はバーなので、普段はアルコールが中心なのであるが、この日の大半は未成年なので、ソフトドリンクを大量に用意して迎えたようだ。
入り口近くにDJブースがあり、アニメソングを中心にプレイ。その音楽に合わせて流暢な日本語で熱唱する10代中国人たち。すごい光景だ。
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主催の日本人DJ okaさんに話を聞くと、「元々、日本でアニメ系イベントが好きで、開催スケジュールをチェックして参加していました。大連にもDJがプレイするようなクラブはあるのですが、アニメイベントはないですね。だったら自分でやっちゃえって感じです」と始める動機を話してくれた。
さらに、「今回で2回目なんですが、前回参加してくれたコがまた来てくれて声をかけてくれたり、一緒に写真撮ったりとなんだか”繋がり”を感じます。あと、見ていると、最初はイベントをどう楽しんでいいのか迷っているコたちも多かったのですが、時間が経つにつれて自分たちの楽しみ方を発見して、歌ったり、踊ったり、座ってじっくり聞いていたり、盛んにリクエストを出してきたりといずれもこれが正解というのはなく、ぞれぞれの楽しみ方を見つけてもらい、”アニメにはこういう遊び方もあるんだよ”というのを知って欲しかったのもありますね。そんな光景を見ていると中国のアニメファンの文化はこうやって育っていくんだなと感じます。近い将来、代わってイベントを開いてくれるようになれば、僕も楽になるので嬉しいですね(笑)」と中国のアニメファン文化の成長への手応えと期待を語ってくれた。
今でも史実からかけ離れた「抗日ドラマ」が毎日のように放映されている中国。その上、90年代生まれは、新世代的な価値観を持つ”90后”と呼ばれるものの江沢民政権下で反日教育が強化された世代である。しかし、彼女たちは、「抗日ドラマ」を見ずに日本のアニメをDVDやインターネットを通して見てきた世代でもあるのだ。
日本の漫画やアニメは暴力的描写や卑猥さも含まれており、果たして日本のアニメ好き=肯定的な日本観を持ってくれているということなのかは不透明な部分があることは否めない。しかし、これから5年、10年後に彼女たちが社会に出てくる時にどんな日本観を持って日本と関わっていくのか楽しみにもなる新世代だ。
<取材・文・撮影/我妻伊都 取材協力/『LOOK大連』>
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