第249回

2月13日「昭和の遺産・復刻」

・表参道ヒルズに行ってみた。長城のような建物の端の一角が、旧同潤会青山アパートを再生した「同潤館」になっている。

・この中にある「ギャラリー同潤会」にて『同潤会記憶アパートメント』展が行われていた。これは昭和の表参道の象徴だった同潤会青山アパートメントを、各種メディアを使って記録再生するプロジェクトである。アーティストグループが中心となり、インターネットを活用して、アパートメント取り壊しの数年前から素材や記憶の収集作業が進められている。今回は写真、映像や図面の展示に加え、PSPを使って往事の風景を立体視させるという試みもあった(=写真)。

・残念ながら週末には終わってしまうものだけど、シリーズで行われている企画なので、またの機会を楽しみに。


2月14日「昭和の遺産・再生」

・『機動戦士ZガンダムIII 星の鼓動は愛』試写。’80年代のテレビシリーズを1クール分ずつ再構成・劇場用版に仕上げていく企画、第3弾。この3部作は、往事のマニアや、未体験の若い人だけでなく「ガンダムに乗り遅れたまんま」というコンプレックスを抱えた人達にも、ちょうど良いと思う。

・セル画作品という、過去コンテンツをデジタル化・再生させるという意味で非常に価値のあるプロジェクトだが、決して老け込まない富野監督のパワーにより、新作としての魅力が吹き込まれているところがポイントである。

・新撮部分に気合いが入っていて、物語を追加するためというよりも、決めのシーンを浮き立たせるために使われている。特にラストの10分は完全に新作になっている(そのためマスコミに対して情報規制までかかっている)。

2月15日「2999年、ではなく2415年」

・『イーオン・フラックス』試写。致死ウィルスによって人類の99%が死滅してから400年。生き残った人類の子孫500万人は壁で閉鎖された街で暮らしている。完璧な管理社会の中では完璧な幸福が約束されている、はずだったが、忽然と消える人々の謎を誰も知ることはない。

・そこで極秘の活動を続ける美少女テロリスト、イーオン・フラックス(シャーリーズ・セロン)。彼女は遂に街を支配する要塞への侵入に成功するが、その時、覚えのない光景が脳裏に次々と浮かび上がり、自分自身の存在を疑い始める。

・デザインには本当にこだわっている(特に衣装と建築)。忍者アイテムやサクラやタタミなどの象徴的な使い方も面白い。ただしカメラワークと編集がわかりづらく、例えば動いている人々の位置関係がしばしば混乱する。テンポもだるい。……と、いう印象は、優秀なアニメとつい比較してしまっているからだろう。

・実写としてのポイントは、肉体性だ。『モンスター』であれほど醜くなってみせたシャーリーズ・セロンがパーフェクトな姿態を取り戻して、アクロバティックなアクションをこなしている。スポーツ選手ですら自己管理できない時代にハリウッド女優は凄いなあ。

2006.03.13 |  第241回~

PROFILE

渡辺浩弐
渡辺浩弐
作家。小説のほかマンガ、アニメ、ゲームの原作を手がける。著作に『アンドロメディア』『プラトニックチェーン』『iKILL(ィキル)』等。ゲーム制作会社GTV代表取締役。早稲田大学講師。