渡辺浩弐の日々是コージ中
第80回
02年8月10日「ルー大柴ファンクラブではない」
・『ルーマニア#203』が好きで、ドリキャス版に続きプレステ2版も遊んでいる。まったり楽しめるおしゃれなゲームだよ。そのファンクラブ『ルーマニア友の会』の会員証が送られてきた。会員ナンバー12番。
・なんと12番目なんてうれしい。ありがとうございます。こないだキャットファイトの団体「JLFP」の会員になった時は、17番という会員ナンバーをもらって「僕以外に16人しかいないのか」と驚いたが、それとはまた別の感動である。
・猛暑続きで散歩者としては行き倒れ寸前。と思ったら行き倒れの犬を保護(もう無事に帰宅済み)。
02年8月13日「亀有にせがれ有り?」
・ホームページで『ひらきこもりのすすめ』という連載エッセイを書いている。毎日無心に書き続けているうち、なんだか自分でも正体のわからない大きなものを掘り出しつつあるようで、楽しみになってきた。
・ここで、このエッセイの主旨に関係のある、未来的スタンスのクリエーターさん数人にインタビューをしてみることにした。今日は、CGクリエーターの秋元きつねさんちに。
・きつねさんと言えば最近は『スマステ』で放映された『ムダベラベラ』に香取慎吾が感動して絶叫してましたね。個人クリエーターとして、デジタルのインフラを使ってどう活動していくか、実践的なお話をいろいろ聞けた。「個人でDVDをプレスして、亀有の、とある蕎麦屋だけで売ってみようと思ってるんです。そこに行ってそば食って、店主のおやじさんに気に入ってもらった人しか買えないようにするとかね」という話が特に面白かった。
02年8月16日「飲まずに乗る」
・『ひらきこもりのすすめ』インタビュー。今日は売れっ子構成作家の鈴木裕史さん。
・最近は合コンの鬼と化してるらしい。しかし鈴木さんは僕と同じでお酒を一滴も飲めないはずなのだ。そして自分だけ飲まずに飲んでる人をじーっと観察するのが共通の趣味なのである。酒飲まずにどうやって口説いてるのか。「酒の力なんか借りずに口説く。それが美学なんです。どうするかというと、番組作りのノウハウを生かすわけです。オープニングで客をつかみ、CMでチャンネルを変えさせずに、エンディングまで突っ走る。つまりまず飯を食いはじめた瞬間にとっておきのネタを出して驚かせる。笑わせながらCMをまたいでニ次会へ、そしてホテルに行くには……(以下略)」という感じで、以下非常に実戦的な話が続いた。多謝。
第79回
02年8月7日「不景気だからこそ」
・デジタルコンテンツ協会の「ジセコン」予備審査会。デジタル系プロジェクトの提案を受け付け、優秀なものに対して国が1件¥1000万程度出資するというものだ。
・去年の同様事業(プレミア・プロジェクト)では個人クリエーターからの応募が多かったが、今年は大企業からの応募も多い。上場企業ですら、実験的な先取りプロジェクトに先行投資の予算がつきにくい状況があり、まずは支援金でリスクを回避したいということらしい。そういう時代だからこそ新しさを重視して審査したくなる。一見無茶に思えるような計画書については、関連の最新技術動向などについて本審査までに勉強しておかなくてはならない。
・将来的には「PAYPAL」のようなシステムを使って、例えば面白いホームページをやってる将来有望な人に100万ずつ、ばらまいてみたりするのもいいかもしれない。
02年8月8日「遭遇!」
・漫画家・木ノ花さくやさんの取材に便乗して、超能力者の秋山真人さんのオフィスを訪問。ビルの屋上のUFO型ペントハウスにある、秋山さんの思索ルームで話を伺う。
・木ノ花さんの作品『エンカウンター』(週刊『コミックバンチ』連載中)は、超能力など各種不思議現象を、科学的な視点で捉えて物語に取り込んでいる。そのあたり僕の仕事とも接点があり、話が合うのだ。
・秋山さんはとても合理的な、冷静なスタンスから様々な能力や現象について説明してくれた。しかし僕が一番驚いたのは秋山さんの前に置かれていたグラスの中の麦茶が、秋山さんが飲まないのにどんどん減っていったことである。気付いてるはずなのにちっとも驚かない木ノ花さんもすごい。
02年8月9日「グンペイズム継承」
・CGアニメーション『プラトニックチェーン』の制作現場に。3分間のショートムービー・シリーズ全24話がほぼ完成に近付いている。今日は各雑誌の取材陣をモーションキャプチャーの現場に招待して、いろいろ質問も受けた。
・映像の新しさだけで結構驚いてもらえるんだけど、実はそれほど特別な、例えば特許技術などは使っていない。ただ、各ジャンルで最新の技術を既に使いこなしてるスタッフが集まっているところがミソだ。こなれているシステムをうまく組み合わせた手法なのである。故・横井軍平さん提唱の「枯れた技術の水平思考」だ。
第78回
02年7月23日「涼しい映画」
・話題のフルCGアニメ『アイスエイジ』。氷河期の地球で、人間の赤ん坊を親元に運ぶために旅をするマンモス、ナマケモノ、トラ。暑さしのぎに最適の映画。
・雪と氷に埋もれた風景の中で、生き残ったほ乳類達はすごく元気に動き回る。そのふかふかといかにも温かそうな毛皮の表現が出色。触ってみたくなる。CG表現としては、その一点豪華主義が効いている。ただ、毛のない動物・人間の赤ん坊が不気味に見えて困った。
02年7月24日「最後の4割打者の最後」
・もいっこ涼しい話。大リーグ「最後の4割打者」テッド・ウィリアムズ氏の遺体を冷凍保存するのしないのというもめごとが遺族間で起きている、という報道。某週刊誌から電話で、この件についての賛否を問われた。
・結局は本人の遺志次第だと思うから賛成も反対もない。本当のところはどうだったか証拠を集めてはっきりさせればいいだけの話だ。ただ「死体を冷凍保存するという行為」については、僕は基本的に賛成する。ある特別な能力を発揮した人間について、その肉体の秘密を骨格や筋肉や脳の状態、そして遺伝子の構造等についてどんな特徴があったのか、近未来の解析技術に委ねるという考えはあっていいと思う。
・ただし、そういうことについてはもちろん、本人の生前の考えが優先される。また、遺伝子が商品化される可能性は、ある。未来の野球界にテッド・ウィリアムズのクローンをデビューさせる等、人権を無視したプロジェクトが始まる危険性も、ないとは言えない。
・さて、ウィリアムズ氏が冷凍保存されることになっていた米アリゾナ州の「アルコア延命財団」には、僕も行ったことがある。日本人ではあなたが4人目だと言われた。
02年7月29日「こういう売り方もあり」
・『ヤフーBBマガジン』の織茂さんが、『キンダーサプライズ』の商品サンプルを持ってきてくれた。ご存知チョコエッグの元祖。日本ではグリコが売ることになったらしい。グリコといえば”グリコのおまけ”。食玩の扱いなら手慣れたものだ。
・タマゴ(型のチョコ)の中からはスヌーピーのフィギュアと、そして、意味ありげな紙切れが。ここに書かれた暗証をインターネットに打ち込むと、20分間だけ、ゲームが遊べる。
・つまり、今度はチョコのおまけに、ゲームがついてくるってわけ。そういえばガーナはチョコのおまけでケータイの着メロをプレゼントしていた。これを、見方をひっくり返して、チョコのカタチを借りてネットコンテンツを売ってる、って考えてみると面白いと思う。てな話をしたらコメントを載っけてくれることになった。詳しくは『ヤフーBBマガジン』参照。
02年8月5日「喋るオンラインゲーム」
・X-boxのオンラインシステム「X-boxライブ」を見学。対応ゲームを実際に試させてもらった。多人数参加のレースゲームを、他のプレイヤーと会話しながらのプレイ。
・キーボード入力によるチャットではなく、マイクを通して声によるコミュニケーションができることがこのシステムの売り。ゲームやりながら喋るなんて恥ずかしいんじゃないかと思っていたが、実際にやってみると印象が違った。不特定の相手とだらだらお喋りするのは意外に楽しいものだ。
・チャットやBBSなど今のインターネット文化を支えている文字コミュニケーションは、回線やハードの限界ゆえに成立したフリーキーな文化だったのだ。まあ文字だけでも相当にいろんなことができたしフリーキーだからこその面白さもあったわけだけど、先入観をいったん捨て、パラダイムを変えてみることによって、新しいコミュニケーション形態が成立するかもしれない。手紙をベースにしたコミュニティーから、会話をベースにしたコミュニティーへ。
02年8月6日「脳ミソ溶けそう」
・『オースティン・パワーズ ゴールドメンバー』。なんといってもマイク・マイヤーズの1人4役がすごいが、パロディーも、SFXも、キャストも、何から何まで詰め込むだけ詰め込んで仕上がっている。よくぞまあネタが尽きない。これをゴージャスと見るか下品と見るか。その両方か。
・日本人には理解不能のギャグが満載だしそれをいちいち説明されても仕方がないわけで、字幕制作者は大変だったと思う。でも、アメリカ人の1/8しか笑えなかったとしても見る価値あり。ただこのシリーズのコテコテ感は関東より関西の方がぜったいウケてると思う。