渡辺浩弐の日々是コージ中
第440回
11月6日「下乳の人も来た」
・深見真さんという作家がいる。新刊の『猟犬』には、なんというか筋肉質の美女に胸ぐらを掴まれ一気に読まされてしまうようなパワーがある。この人ともKカフェのおかげで最近知り合うことができ、今日、一緒にニコニコ生放送をすることになった。
・深見さんは『剣闘士 グラディエイタービギンズ』のストーリーを担当していて、このゲームのプロデューサー・広瀬和彦さんとは共通の知り合いなのだ。世界は狭い、というわけではなく、そういうところなのだKカフェは。こういう人、こういう作品を応援することによって、クリエーター情報とゲーム情報を同時に発信する「ニコニコチャンネルGTV」の意図も、打ち出していきたい。
11月7日「新宿で夜更かし」
・新宿ロフトプラスワンにて、飯野賢治さんとヨシナガさんの 「気になること。4」というイベント。夕刻から夜中まではトークショウ形式で、0時まわったあたりから朝までは飲み会形式で。トークショウ部分では二人の視点とアンテナにひっかかってきた絶品ネタが次々と繰り出された。「3D」の話題は、これまでこの題材を扱ったどの番組よりも記事よりも面白かった。3Dカメラ(ファインピックス3D)みたいな新しくてすごいツールが出た時に、それを自分で持ってすぐに街に飛び出していくヨシナガさんのようなクリエーターからの発言が、一番大事なのだ。
・飲み会はあえてネタを決めずにだらだら雑談、という形式。決めておかないことで、予定調和の外側の何かが弾けるんじゃないか、という企みもあったんだろうと思う。それはすごく成功していたみたい。
・一人で行ったんだけど、客席に知り合いが多くて驚いた(具体的に書くとまずいかな)。休憩時間に、飯野さんとも久しぶりにじっくり話せた。そのままの流れで、僕もステージでちょっと(というか2時間ほど)喋らせてもらえた。
11月8日「移動式渡辺浩弐」
・最近のネットブックの軽さと速さと安さはすごい。特に安さは、通信料も含めて一昔前のケータイくらい、つまり高校生くらいでも持っていられるレベルだろう。今始めるならケータイよりこっちの方が現実的なんじゃないだろうか。
・ネットブックにデータカードを刺して「ニコニコチャンネルGTV」に繋いでみた。これでいつでもどこでも、歩きながらでもニコニコ生放送がやれるわけである。というか、やっている。中野ブロードウェイの中をぶつぶつ解説しながら歩いてみたり(屋上のアレも紹介)。6日には本放送の後、深見さんや広瀬さんと飲み会に突入してからその現場をだらだら流してみたり。
・これからは、したい時できる時いつでもいきなり始めようと思っている。が、問題は、それをどう告知するかってことだ。「ニコニコチャンネルGTV 」に入会(無料)してもらえばアラートを送ることができる。
・それからツイッターなら、直前につぶやいてお知らせすることができる。よろしければフォローしておいてください。そうかツイッターってこういう時に便利だね。
・主催者側のお許しが出たので、13日は学会の講演会の現場からやってみますよ。話の内容も、この企みに関係のあること(人類総放送局化計画について)なので、タイムリーなんです。
第439回
10月31日「NBWなら」
・『のせすぎ! 中野ブロードウェイ』(辰巳出版)が発売になった。過去文化の遺跡。未来文化の産地。真逆の機能を同時に果たしているこの特異な場所を深く掘り下げている本だ。
・中野ブロードウェイを本気で愛しているライターや編集者が中心になり、商店街の方々をはじめブロードウェイの当事者をおおぜい巻き込んで、綿密に仕上げられたもの。かなりディープな裏話や秘話までが網羅されている。中央線文化の特性、10年代サブカルチャーの方向性、など、ここから浮上してくる情報は濃厚で有効である。
・今日はブロードウェイ1階特設ブースにて販売。僕の小説のページにサインを入れさせてもらったり。
11月4日「NBWにて」
・Kカフェのおかげで、いろいろなゲーム業界人とも出会ったり、再会したり。イベントやパーティーなどでしばしばお見かけするような方でも、じっくり話ができる機会は貴重だ。そして何かテーマがあればすぐニコニコ生放送。
・今日の出演は中野ブロードウェイで生まれ育ったという村田さん@角川書店、異業種からの参入メーカーならではの濃い話を聞かせてくれた藤尾さん末吉さん@ゼンリン、そして黒川さん@ブシロード、他。黒川さんとはつい昔話をしたくなるけど、未来の話を聞く方がずっと面白いのだ。
・TCGの現状が興味深かった。ゲームやアニメのファンが、そのキャラクターが出てるカードを買うという流れより、カードでキャラクターを知って原作に興味を持つ流れの方が顕著なのだそうだ。
11月5日「NBWから」
・関西大学の富田英典教授が、情報通信学会主催の「国際コミュニケーション・フォーラム」に誘って下さった。今回のテーマは「AR(拡張現実感)技術が拓くモバイルコミュニケーション」。セカイカメラ、実空間透視ケータイ、空気の読めるケータイといった先端ツールに関わっている方々が登壇する。
・僕も少し時間を頂いた。SFが現実にオーバーラップしようとしてる今、現実をさらに加速することによって今度は逆にSF的な状況を包み込んでしまおう、という試みについて。なんでニコニコ動画なんだとかなんでゲームチャンネルなのに作家チャンネルなんだとか、なんで中野ブロードウェイなんだとか、なんで小説家のくせにネット技術の特許なんかとか、最近よく聞かれることに少しだけ答えるようなことを話す予定。
・開催は11月13日(金)、参加費は無料。興味のある人はこちら から申し込みをしてください。
第438回
10月21日「ちゃんと売り、ちゃんと買うために」
・ニコニコチャンネルGTVにて、『ゲームメーカー交流会 #3』放送。K-CAFEでは、ゲーム会社の方々が集まっての勉強会(+飲み会)も行われている。その現場からニコニコ生放送を行い、新作のあるメーカーさんにしっかり語ってもらっているわけだ。これほど真に迫るゲーム情報は他にないはずだ。購入ガイドとしてきわめて有効なものになると思う。
・ニコニコ動画のように売り手と買い手が直接つながれるメディアは、はっきりと宣伝してもらいしっかりと吟味してもらうための場としても使いたい。特に親にめんどうをみてもらいつつネットに浸っている人は、なんでも無料で提供されると錯覚しがちだが、それはお金の使い方に無意識になってしまっているというだけのことだ。本当に好きなものに対してどう支払いをするかは。自分の頭でちゃんと考えた方がいい。ゲームは作品であり、その大半は今のところお金をかけて作ってお金をとって売っているものである。TVもネットもゲームも基本タダなんだと思っているような人が特に危ない。
・そういう人が実は一番ひどい収奪を受けているのだ。
10月22日「アイドルソフトを作りたい」
・お台場の日本科学未来館にて、「国際3Dフェア2009」『国際3Dシンポジウム Part 1. なるほど!3D』河合隆史さん、西和彦さん、行正り香さん、と、別々の領域でそれぞれ尖った活動をしている人の集まりだから、司会進行の役割にはとてもプレッシャーがあったが、皆様のお気遣いのお陰で接点を見つけて進めていくことができた。
・河合教授とは彼がまだ学生だった16~17年前、一緒にVRやゲームの勉強会などを始めた縁だ(当時から図抜けて優秀だった)。行正さんはとても冴えてて優しくて、今の優秀な女子学生が憧れる女性とはこういう人なのだろうと納得できた。そして西さんは、相変わらずすごいパワー。個人的にはこの人の話 (例えば『3D-CG化を完了して準備万端のハリウッドアニメの前で日本のアニメはピンチに瀕することになる』とか) にもっと食いつきたかったが、時間の関係でどうしても困難だった。
・展示ホールも面白かった。特にソニーの360度立体ディスプレイに人が集まっていた。高さ30センチ弱の透明な円筒の中に実写の立体動画が表示される。サイズ的には、テレビ電話に向いているかな。あるいはいっそアイドルソフト専用プレイヤーとして使うとかね。『BLACKOUT』の世界が実現してしまうね。
・他にも大スクリーンの裸眼ディスプレイも展示されていた。ただ個人的には、無理して裸眼で見るより眼鏡かけて見た方が良いと思えた。映像的にはずっと安定するし、今の液晶グラスは軽いしちっとも疲れないし。
10月23日「浩乙つけがたし」
・今日も「国際3Dフェア2009」。豊洲のユナイテッドシネマで、安達寛高(乙一) 監督作品『立体東京』の上映会。監督と二人で上映前に喋らせてもらった。ゼロからスタートした立体映画のメイキングの苦労など、面白い話を聞くことができた。ありがとうございます(ただし上映は音ずれがあって、来場の皆様、安達監督、本当にすみませんでした)。
・「最後の上映」なんて自分でおっしゃっていたけれど、家庭用の3Dハードがすぐに普及するから、すぐに誰でも見られるようになると思いますよ。
・ちょっとお知らせ。10/31中野ブロードウェイ1階での『のせすぎ! 中野ブロードウェイ』(辰巳出版)販売は、デリシャスウィートスのパフォーマンスは残念ながら中止だそうです。それから僕のサイン本も一応用意しておきますので、ご要望の方はお申し出ください。