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渡辺浩弐
渡辺浩弐
作家。小説のほかマンガ、アニメ、ゲームの原作を手がける。著作に『アンドロメディア』『プラトニックチェーン』『iKILL(ィキル)』等。ゲーム制作会社GTV代表取締役。早稲田大学講師。

第270回

7月10日「メールでゲームもOK」

・『かまいたちの夜ニワンゴ版』がスタートした。ニワンゴのシステムに則って、メールの送受信だけで遊ぶオリジナル新作。雪の中、人里離れた山小屋に閉じこめられ殺人事件に遭遇している人物を、メールで導いて助けてあげるという設定である。

・四六時中メールをやりとりしている人にとっては、携帯電話はコントローラーよりラクなインターフェイスと言えるかもしれない。そして、それはどのゲーム機よりも大きいインフラ上にある。このゲームも、メールの出来るケータイならほぼ全機種対応なのだ。テレビ放送並みの一般性である。つまりあなたもすぐにできるわけなので、こんなごたくを読んでるよりも試してみた方がいいかも。

・「セーブ」にサーバー側で対応するなど、Web2.0的仕掛けに将来的な可能性を感じる。

7月18日「ひきこもり→経営者」

・『ゲームラボ』誌の取材で、横須賀「はるかぜ書店」に。元ひきこもりの若者達が運営している本屋さんである。店長の石原直之氏を取材。明るくて感じのいい人だ。喋りもうまくて、とてもひきこもりとは思えない。そう言ったら「他人とのコミュニケーション力はネットゲームで鍛えられましたので」だって。なるほど。

・メンタルヘルスやひきこもり問題をテーマにした書籍を一角にきちんと揃えている。また、2階はNPOの運営する相談窓口になっている。ひきこもりや元ひきこもりの人が気軽に出入りできる場所を目指しているようだ。

・ひらきこもりの情報力は専門的な文化領域での商売に向いている。二つの方法が見える。一つはデジタル機器とネットを活用し、自室で作業すること。もう一つは仲間と城を作りそこで極めて専門的な商材を扱うこと。いずれも、出歩かなくても、多くの人々がわざわざ訪ねて来てくれるくらい素晴らしい仕事を目指せば良いのだ。

7月19日「タイのメイド喫茶について」

・アルケミストの浦野社長と打ち合わせ。前日にタイから戻って来たばかりだという。遊びではなく、タイで盛り上がりつつある日本オタク系文化の視察だったらしい。

・テレビではドラゴンボールやNARUTOが高視聴率を上げ、紀伊國屋など日本専門書店が人気スポットになっていると。もちろん売れセンはマンガだ。街中にはアニメイトそっくりのショップもあり、現地の若者は、輸入盤のゲームやアニメを日本語のままで楽しんでいるという。

・そして浦野社長はあの!”AKIBA”に行ってきたという。話題と幻想だけが先走っている「タイのメイド喫茶」だ。

・日本のオタク文化、特にコスプレに憧れている少女達が嬉々として働いている感じだったそうだ。タイの萌え系少女はものすごく、半端でなく、可愛くて、心が洗われる思いだったという。僕はメイドとか美少女にはぜんぜん興味はないのだが、日本のポップカルチャーが世界に拡散しつつある現状の勉強のため、一度行ってみなくてはと思っているですたい。

・ただしあちらでは月に1~2万あればリアルメイドが雇えるそうである。毎日メイド喫茶通う金があるなら、なんて妄想してはいけない。

・そういえば「タイの玉本さん」はいまどうしてるんだろう。と思って調べたら……玉本氏が「ハーレム生活」再現?カンボジアで10代女性60人を妻に(時事通信2001年3月21日)……だそうです。日本のアキバ系諸氏、マネするなよ!絶対するなよ!

2006.07.25 |  第261回~

第269回

7月3日「仕事選ばないハル・ベリー、ナイス!」

・『X-MEN ファイナルディシジョン』試写。様々なミュータント達が変身、念動、物体透過、瞬間移動、火炎、冷凍、飛行、分身、……etc.それぞれの能力を発現して戦う、という実にコミック的な状況を生真面目にリアルに映像化する。

・最先端SFXというより、枯れた技術の水平思考である。他の作品で既に検証された技術を、最高のキャスティングとセッティングで、徹底的に予算をかけて、派手に使い尽くす。そんなコンセプトなのだと思う。今回は、誰もが知っている有名な風景を、地形ごとねじまげてしまうシーンが圧巻。

・技術だけでなく、脚本も実によく練れている。シリーズが進むに連れてミュータントが増えそれぞれに深刻な事情を背負い悩んだりしているが、決して話を複雑にすることなく明快な群像劇として見せる。その中に緻密に張り巡らされた伏線とその見事な解消に、唸らされるのである。

・「実はアレがアレのアレだったって、気付いてた?」的な蘊蓄を彼女にトクトクと語りたかったら、一人で先にこっそり見に行っとくといい。それはエンディングまで、そしてエンドロール後まで続くので早めに席を立たないこと。

7月4日「仕事選ばないソニー千葉、ナイス!」

・『マスター・オブ・サンダー』試写。倉田保昭・千葉真一が映画初共演、しかも直接対決あり!! という、中年世代には奇跡のような、しかし若い人には意味不明の豪華企画。

・邦画は国際的には通用しないと思われているが、実はテレビドラマの「特撮ヒーローもの」「戦隊もの」は、世界で十分ウケている。それどころか、北米やアジアなどでは圧倒的ブームといえる状況を作っているのである。フルデジタル化してからは、SFXシーンのクオリティーもがんがん上がっている。なら、そのノウハウを生かして、その延長で映画を作ってしまえば……という発想だろう。
そこに、香港やハリウッドで血と汗を流し、カルト化するに至った二人のアクションを、その新しいステージに迎える、という、これは野心的なようで隙のない企画である。

・木下あゆ美、永田杏奈ほか特撮テレビシリーズの人気タレントがずらりと出演している。が、倉田保昭60歳・千葉真一67歳……合わせて127歳の還暦コンビがものすごく本気のアクションを見せるところがなんといっても凄い。孫の年齢の監督のもと、ワイヤーに吊られ、骨折しそうな勢いでハードに戦うのだ。泣けるほどかっこいい。年取っても枯れちゃいけない。

7月5日「日本のカルト映画といえば」

・「週刊ファミ通」誌の取材を受ける。1986年公開映画『ゲーム・キング』についての記事。今やカルト・ムービーとなっているこの作品の構成をやったのが、若き日の渡辺浩弐なのであった。まさか、この仕事が20年も残るとは。どんなに戯けたことでも、いや、戯けたことほど一生懸命やっといた方がいいですね。

・時を経て先ほどDVD化もされ他でもないファミ通レーベルからリリースされたようだ。が、その印税の入金がまだなので、楽しみに待っている。と、いうような話。探してみたら当時の台本も出てきた。最初は具志堅用高とか間下このみも出てたんだよ。

2006.07.19 |  第261回~

第268回

6月28日「ひきこもり中年のテロリズム」

・おなじみゲームラボ「三十歳のハローワーク」公式ブログ上で、メインスタッフの3名(ジャンクハンター吉田氏、ゲームラボ編集部岩田氏、と渡辺)がそれぞれ連載を始めることになった。ちゃんと続けられない人はひきこもりの中年男性のうちに「レンタルお兄さん」として泊まりにいかなくてはならないことになった。

・僕は、吐田進くんというひきこもり青年いや中年の話を書く。「ひきこもり問題を解決するためには、年寄りを全員、殺してしまうしかない」というのが彼の持論である。今1000万人を殺さなかったら、40年後この国の人口は3000万人減ってしまっている、という。

・これはテロリストの独白とも読めるかもしれない。共謀罪が成立したら引っかかりそうなので、僕の手の中でいったん小説としてまとめつつ出していこうと思う。

6月29日「企画や試作してる場合ではない」

・おなじみ「ニワンゴ」の杉本社長と、担当編集者の橋爪さんと、打ち合わせ。
ニワンゴはインターフェースもコンテンツも日々進化している。日刊で連載している渡辺のショートショート小説も好アクセスを頂いているらしいので、さらにがんばります。現行の全機種に対応するために1メールの文字数を250字以内に限定しているのだけど、これは新機種の人には面倒臭いかもしれない。うまい方法を探して、改良を図っていきたい。

・システムが落ち着いたら、従来の小説とは違う新しいものを書き下ろす予定。
実はニワンゴのフォーマットで、つまり携帯ならではの形態を思いついてしまったよ! ……ところがそれを提示するためには、そのフォーマット上で一本、作品を仕上げなければならないわけである。それにかかる時間と労力を算出して、自虐的な快感でしばし慄然としてしまった。

・ネットの世界では、出来たものはすぐに世に問える。別に誰の許可を得なくても作って良いわけだし、作ったら、その日の内にケータイに配信できるのだ。ということは、逆に、どんなにすごいアイデアでも、半端な状態のものには価値も意味もないのである。

・すなわち「企画書」とか「試作品」はいらない。そんなものを作ったりもったいぶったプレゼンテーションをやってる暇に、完成品を作って出してしまえばいいのである。この変革における省力化は、クリエイティブの世界において跋扈しているインチキな人々を一掃する。そして若い感性に大きなチャンスを与えるものである。がんばりましょう。

7月1日「流線型のエロティシズム」

・ディズニー/ピクサーの『カーズ』。ツルツルした造形物がうにゃうにゃと動き喋る有様がものすごくセクシーで、ヤバい。エロい。エロすぎる。キャラクターが男性だろうが女性だろうが、無機物だろうが有機物だろうが、関係ない。
『バンビ』に衝撃を得て何十回も劇場に通った手塚先生の気持ちが良くわかる。
この種類の欲情は、行き着く先がない。だから、キリがないのである。

・頭の悪い老人達は、ちっとも害のないアクションゲームとかを、表層的な意味だけを拠り所に規制していれば良い。本当に新しい感性は馬鹿や阿呆の手の届かないところで伸び伸びと育つだろう(写真は『カーズ』とは関係ありません)。

2006.07.10 |  第261回~

第267回

6月22日「桃月学園に合格(?)」 ・スクエニからコラムの依頼。『ぱにぽに』単行本の同梱ブックレット(初回限定)企画でメガネオンリー本を作るということらしい。氷川へきる先生からのご指名ですから……と、編集者のそういう頼み […]

2006.07.02 |  第261回~

第266回

6月9日「缶コーヒーとTVゲームの日々」 ・人間ドック。異状なし。というか僕はもう30年間、身長も体重もB・W・Hも 全く変わらず、高一の時に買ったパンツをまだ履いている。血液などの検査結果 も、全ての数値に変化なし。主 […]

2006.06.26 |  第261回~

第265回

6月6日「石にかじりつく」 ・机上でカタツムリを飼っている。これもまたエレガントな生き物だ。知覚機能 が人間と全く違う生物を見ているとイマジネーションが広がっていく。 ・あの柔らかそうな口で固い生野菜をばりばり食べる。な […]

2006.06.19 |  第261回~

第264回

5月30日「日曜マンガ家増加」 ・少年ジャンプのデジタルマンガ賞(『JW3CP』)審査会に参加。今回から はモバイル部門が独立し、携帯電話などへの配信を意識した作品を募集してい る。今すぐのコンテンツニーズや商業性を考え […]

2006.06.12 |  第261回~

第263回

5月27日「香虫」 ・オオトラフコガネという昆虫を飼っている。特徴は、匂いだ。花のような蜜の ようなすごく良い匂いがするのである。数十匹がいっせいに羽化したので、部屋 じゅうに香水をふりまいたようになった。 ・マイナーな […]

2006.06.06 |  第261回~

第262回

5月17日「あッ」 ・日本で一番売れる翻訳小説が、今、美しい言葉をいっこ殺しましたよ。 5月23日「5年もの」 ・「どうぶつの森ミュージアム」@原宿LAPNET SHIP。『どうぶつの森』をテーマにした若手アーティスト作 […]

2006.06.01 |  第261回~

第261回

5月10日「ひきこもり放送準備中」 ・ジャンクハンター吉田氏、ゲームラボ岩田氏と集まる。居酒屋で飲みながら話し、その内容を録音。ひきこもり支援ブログ(www.hikikomo.com)はPodCastingへの対応も可能 […]

2006.05.10 |  第261回~